知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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電子図書館は「公正利用」か

グーグルの米国でのネット上における「『電子』『図書館』サービス」の著作権侵害裁判で、ニューヨークの連邦高等裁判所は、「『公正利用』の範囲内で、著作権侵害にはあたらない」との判断をくだしたそうです。

著作権保護期間がきれているものであれば問題ありませんが、著作権保護期間内のものも、著者の了解を得ずに一部分を無断に抜粋して公開していたらしく、これが著作権侵害として、アメリカ作家協会などが著作権侵害だとして裁判をおこしたらしいです。


あくまで私見ですが、インターネットの手軽さや特性を考えると、必ずしもこれは「公正利用」とはいえないと思います。なんか、この裁判には違和感を覚えます。


(これはまあ日本の場合ですが、アメリカも似たようなものでしょう)
普通の図書館であれば、
①「図書館」に行く
②「図書館」内で書籍を読む、あるいは一定期間内という条件で借りて「図書館」外へ持ち出す
③但し他の人が先に読んでいたり借りていたりしたらそれが終わるのを待たなければならない、蔵書している書籍の数には限りがある(例えば1書籍につき1冊の蔵書)のだから
④貸出期間も有限で基本2週間くらい、ただし次に借りる予約が入っていなければ、続けて再度借りることは可能
⑤自己負担と自己責任という条件のもと必要最小限度のページの自らによるコピーは可能
こんな感じだと思います。だいたいこんな感じのルールが借りる人には課せられていると思います。
このルールがあるからこそ、図書館においては「公正利用」が認められるのではないでしょうか。

「電子」「図書館」では、これらのほとんどは解決され、これらのルールがなくなる、といいますか無用になるといえます。ある意味非常に便利にはなりますが、これにより、書籍は急激に売れなくなるのではないか、と危惧します。ネットで簡単に(おそらく「無料」で)借りることができる書籍をわざわざ購入するメリットがあるのでしょうか?「電子『図書館』」なんです。作家の「書籍を販売して、収入を得る」機会がそがれることになるでしょう(ですから、すでに廃刊になっている書籍についての場合で「有料」ならば、「電子」「図書館」もありだと思います。また、前述のルールがなお「電子」「図書館」でもいきているならば、やはりこの場合でなら「電子」「図書館」はありだと思います。)。

勘違いしないでいただきたいのは、これは「電子『出版』」の話ではなく、「電子『図書館』」の話である点です。
また、これが無料でなく「有料でちゃんと権利者にそれなりの金額が支払われている」ならば話は別です。
さらに、このサービスを公共機関がしているのならともかく、一私企業であるグーグルがしているのだから、違和感がありまくりです。グーグルは、一見公共のためにしているようですが、所詮は最終的に自らのビジネスにつながるからしているにすぎません。



とにかく、なんでもかんでも「公正利用」の名のもとに許されるとしたら、私はそれは間違いだと思います。
ま、アメリカですからね、私の知らないアメリカならではの事情があるのかもしれません。もし私の不勉強のところがありましたら、御容赦ください。