知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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&TOKYOロゴマークの件 もっと冷静になるべきでは?

東京都の東京ブランドロゴ「&TOKYO」(正確には、ロゴの&の部分がマークになっていて、その部分)と、フランスパリの眼鏡ブランド、Plug&Seeのマークが似ている、とネット上で話題になっているようです。ニュージーランドの企業ロゴ、JONES&COのマーク化された&部分とも似ている(というか同じ)と、話題になっています。

確かに、私もかなり似ているとは思います。JONES&COの場合なんて、まったく同じに見えます(笑)。
でも、パクッたかどうかまでは、私にはわかりません。ですから、パクッたなんて私にはけっして言えません。確かにパクっていると証明できるならともかく(ただそれは、このようなシンプルなデザインではほぼ無理でしょう。また、同じであることと、パクっていることは、証明できない限り無関係です。)、そうでないならば、パクッていると非難するのは下手をすれば名誉棄損にもなりかねません。
道義上問題があるとしても、証明できない限りどうしようもないでしょう。

そもそも、Plug&See側やJONES&CO側は、似ていると文句を言っているのでしょうか?商標権侵害(あるいは著作権侵害等)で訴えているのでしょうか?
そうでないならば、関係のないネット民が、揚げ足取り的にパクリだなどと言うのは、ちょっと違うのではないか、と私は考えます。はっきりいって、他人の余計な御世話です。


そもそも。

&TOKYOのマークの方は「赤い丸の中に白でぬかれた&の字」です。
Plug&Seeのマークの方はもう少しこっていて、「赤い丸の中に白でぬかれた」というところまでは同じですが、&の字がずれて重なって二重になってあらわされています。
JONES&COにおいては、&TOKYOのマークとは、完璧に同一です。
 
しかしいずれにせよ、非常にシンプルです。Plug&Seeは、&が二重になっているだけ、少しデザイン性は高いですが、それでもシンプルです。
ですから、まず、いずれの場合も、その単純さゆえに「いずれにも著作権性はない、あっても限りなくゼロに近いほどに低い」、と考えるべきです(そもそも、これらは日本においては著作物性はありません。これらは著作「物」ではないのですから。赤丸に文字ぐらいでは絵にはなりません。ですから、日本ではこれらは著作物とは認められません。よって、著作権性はやはりないと言っていいでしょう。ただ海外ではロゴも著作権保護対象として認めている国があります。)。

あとは、商標権ですが、これらは属地主義ですから、フランスやニュージーランド商標権が日本においてつうじる訳がなく、逆に日本の商標権がフランスやニュージーランドにおいてつうじる訳がありません(なお余談ですが、日本においてはロゴマークそのもの自体を「意匠」登録することはできませんが、海外では「意匠」登録できる国や地域があります。)。もちろん、それぞれのマークが、自国のみならず、他国で登録できているなら、自国以外の登録をした国において商標権を持つことができます。
まあ、おそらく自国でも登録していない気がします(&TOKYOについては、日本国内で商標出願はされていますが、まだ登録にはなっていません)。
つまり、登録された商標権を持っていない以上、それを行使すること自体がナンセンスです。未登録商標の先使用権を主張することはできますが、それは自国内の話で、自国外では通用はしません。
そして、商標においては、パクリは基本的に直接問題にはなりません。実際にはパクリだとしても、特許庁が認めれば登録されます。パクられた側が、異議申立や無効審判請求、さらには最悪裁判を起こしてそれが認められない限り、その登録は有効です。また、実際に、異議申立、無効審判請求、裁判をしたところで、今回のマーク程度ならば、少なくとも日本においてはその訴えはまず認められることはないでしょう。そのレベルのデザインのロゴマークにすぎないと思います。


というところまでちゃんと考えもせず、ただ単純に「パクリだ=悪い」というのは、もうそれは「正義ぶった単なる揚げ足取り」としか、私には思えません。


もう少し法制度を知って、冷静になりましょうよ。



余談ですが。
&TOKYOの商標出願がすごいです。全区分で出願しています。細かく確認していませんが、指定商品・指定役務も一通りはカバーして出願しているのではないか、と思います。流石東京都。


さらに余談です。
なんか、Plug&Seeは、「日仏交流のため東京都にロゴマークを譲渡するからそのための寄付をしてほしい」と、ネットで寄付を募っているらしいです。なんか違う方向に話がいっている気がします。
そもそもPlug&Seeのロゴマークに譲渡してもらうだけの権利があるのでしょうか、私はにははだはだ疑問です。&TOKYOは日本における商標ですからその権利範囲は日本国内、Plug&Seeの方はフランスにおける商標(おそらく商標登録していないので、「標章」というのが正しいと思います。)ですから権利(あればの話ですが)範囲はフランス国内です。東京都としては、別にフランス国内における権利(あればの話ですが)はいらないでしょう。





一応の追記です。
私は、個人的には、この商標出願について、「最終的に登録されない」という、最悪の結果に終わるのではないかと心配しています。それこそ1億という金の無駄ですから。