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知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

アイドルの交際禁止の契約は有効か無効か? 【追記有り】

いきなり冒頭からタイトルとは関係ないことを書きます(笑)。
例の五輪エンブレムの件、ベルギーの当の劇場は訴訟を取り下げたようですね。マークをデザインしたオリビエ・ドビ氏(及び、アラン・ベレンブーム弁護士)は、取り下げず訴訟をすすめているようです。
まあ劇場側は裁判をしたところで、勝訴してもほとんどメリットがないでしょう(仮に著作権侵害の主張が認められ勝訴になったとしても、おそらく劇場側は損害賠償をたいして得られないと思いますし、日本五輪委がエンブレムの使用を止め、差止の対象がなくなってしまった以上、差止をすることなどできません。また、勝訴したところで、その判決はベルギー国内でしか有効ではないはずでしょうから、そうなるとこの判決はベルギー国外ではどう扱われるのでしょう?どなたか教えてください。)。
おそらくオリビエ・ドビ氏も同様に取り下げたいのでは、と思います。ただ見えない何らかの圧力(なんじゃそりゃ?(笑))によって取り下げたくてもできないのでは、なんて非常にいいかげんで怪しいとんでもない想像をしております(笑)。
でも、私にはなんのために裁判をするのかがわかりません。いったい誰にどういう損害がどの程度で発生したというのでしょうか?今となっては、裁判をするにあたって、どのような理由とどのようなメリットがあるというのでしょうか?私には全く見当もつきません。
まあ、ベルギーの裁判制度なんて詳しくないですから、なんかあるのかもしれません。さてどうなることやら。



話を、本来のテーマに戻します。

東京地裁の判決で、とある事務所が訴えた、契約違反をしたとされる元所属の女性アイドルへの損害賠償請求が認められました。

その契約違反とは、交際禁止(異性との交際禁止、男友達と2人で遊んだり写真撮影することの禁止)の契約(規約)の違反、だそうです。

この女性というか少女(17)のアイドルは、契約(規約)で禁止されていた、男性との交際をしました。それが発覚し、結果この少女が所属していたアイドルグループを解散せざるをえなかった、として、マネージメント事務所はその少女とその親を相手どって損害賠償請求の裁判をおこしました。「アイドルの交際発覚はイメージの悪化をもたらす」として地裁はその訴えを認め、事務所が主張した請求金額からはかなり減額はされてはいますが、数十万円の支払いをその少女とその親に命じたようです。


これって、どうなのでしょうか。そもそも恋愛禁止、交際禁止の契約は有効なのでしょうか?


事務所が異性との恋愛や交際の禁止を所属アイドル等に課している、というのはよく聞きます。しかしそれは、事務所側がアイドルタレント管理の一環としてそう口にしているにすぎず、実際のところ有名無実、契約としては全く意味はない、契約としては当然成立しないし、このような契約など実際はしてはいない、ものとばかり思っていました。まあ、ばれた以上、アイドルとしてやっていくことが困難な場合はやめざるをえない、のかもしれませんが。しかし事務所側から首にすることができるのかどうか、疑問には思います。

今回裁判になったということから考えて、おそらく、アイドルと事務所との間で契約(規約)書面にて双方の合意があったと思います。そうでなければ、事務所は契約違反を裁判にて証明できないでしょうから。

しかし、実際に書面上の合意があったとして、この交際禁止の契約条項は、はたしてそもそも有効なのでしょうか?合理性、正当性がある条項なのでしょうか。
私には疑問です。

まず、恋愛禁止、交際禁止なんて、憲法違反(は言いすぎか?)で人権侵害以外のなにものでもないと思います。その点でこの条項は無効だと思います。だから、正当な契約条項とはいえないと思います。

合理性ですが、確かに、アイドルグループをデビューさせ売れるようになりちゃんと軌道にのせるまで、かなりの時間、てまひま、そして金がかかるでしょう。それなりの初期投資が必要です。だから、その初期投資回収ができなくなったとしたら、そのことには、一見合理性があるように思われます。
しかし、「『解散したため』、その初期投資の回収ができなくなった」というのは違うと思います。グループを解散はせずに、その少女「だけ」を契約違反としてクビにしてその範囲に限定して損害賠償請求をすればよかったのではないでしょうか?残ったメンバーで(あるいは、新メンバーを補充して)グループを続けやっていくことはできたわけで、この解散には合理性はないと考えます。ですから、解散により初期投資回収ができないことについて、この少女及びその親に損害賠償請求をすることには全く合理性はないと考えます。それとも、この少女アイドルがいないと、このアイドルグループはもはや成り立たなくなるというのでしょうか。そうだとしても、では他のメンバーはなんのために存在しているのでしょうか?単なるかざり?引き立て役?
とにかく、少女の契約違反は、グループを解散させるべき正当な理由にはならないと私は考えます。
解散させそれを少女のせいにして損害賠償を請求する事務所も事務所なら、それを認める裁判官も裁判官ではないでしょうか。
もしかしたら、裁判官は少女の契約違反は解散の原因理由にはならないと判断したので、それで損害賠償額をかなり減額したのかもしれませんね。それなら納得できます。
ただ、裁判官は「男性ファンの支持獲得のために交際禁止は必要」と判断したようですから、契約(規約)による交際禁止については、その正当性を認めた、ということなのだと思います。これには私はなんとも釈然としませんが。


最後にあらためて私の考えをまとめます。
そもそもこの契約(規約)は無効だと思います。この場合、逆に少女側が事務所により不当に契約を解除されたとして(つまりクビになったとして)事務所を訴えることになるかもしれません。
また、もし仮に契約が有効だとして、それでもこの解散自体にはなんの合理性はないと思います。解散の必要はないと考えますので、よって解散による損害までを認めることはできないと思います。その点で少女側が負うべき損害賠償責任は、非常に限定的な範囲に限られると思います。数十万円よりさらに少なくなるかもしれません。詳しくはわかりませんが。


【追記】
そう、このアイドル、未成年なんですよね。
ですから、おそらくこの契約には、なんらかの形で親の同意があったとのだと考えます。親の同意がなければ、それを理由に契約の取り消しができるはずですから、そのリスクをさけるために、事務所側は必ず親の同意をとったに違いありません。そして事務所は、今回のように、未成年たる本人の債務不履行責任と、あわせて同意をした親権者たる親の保護者としての責任を追求して損害賠償請求訴訟をおこした、ということでしょうか。未成年に支払能力はないでしょうから。