知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

「著作権」と「著作物の所有権」は異なります

おそらくほとんどの方は正しく理解されていらっしゃると思いますが、念のため『「著作権」と「著作物の所有権」とは違うものである』ことを書いておきます。


例えば、音楽CD。
あなたは好きなバンドのCDを買いました。これは『著作物(正確には「著作物の複製品」)を買った』だけです。「著作権」を買ったわけではありません。その買ったCDの所有権はあなたにありますが、そのCDに収録されている音楽の著作権までがあなたのものになったのではありません。
この点を勘違いしているから、自分が買ったCDを「勝手に」コピーしてそのコピーを「他人に」あげるあるいは販売する行為や、買ったCDを「勝手に」店でBGMとしてかけてしまう行為、インターネットにアップロードする行為またはダウンロードする行為、その音楽を不特定多数相手に有償で演奏する行為等、権利侵害行為をしてしまうのかもしれませんね。
再度書きます。著作権は著作者、著作権者に依然あります。あなたに著作権が移ったわけではありません。CDを買った人に認められるのは、その著作物の複製品たるCDの私的個人的所有行為(所有権)と、その著作物の複製品たるCDを聞く行為(私的使用行為)や、そのCDのバックアップCDをあくまで自分のためだけにつくる行為(CDにプロテクトがかかっている場合はいけません)、厳密には許されるのは、これらの行為だけです。あなたに著作権が譲渡され移ったわけではけっしてありません。

書籍でも同じです。
あなたは好きな作家の書籍を買いました。これもやはり『著作物(正確には「著作物の複製品」)を買った』だけにすぎません。「著作権」を買ったわけではありません。その買った書籍(著作物の複製品)の所有権はあなたにありますが、その書籍に収録されている文学作品等の著作権までがあなたのものになったのではありません。

テレビ番組で考えてみましょう。
あなたはあるドラマをテレビで見ています。これは『著作物たるドラマをテレビで見ている』だけにすぎません。当然ドラマの「著作権」を買ってそのドラマを見ているわけではありません。また、そのドラマを自分で録画したとして、個人的私的に何度も見ることは問題ありませんが、有償無償問わず貸したりあげたりしたら、これは違法行為です(友人に貸したりあげたりするのも違法行為ですが、現実的にいちいち著作権侵害をテレビ局等権利者側が主張することなどできませんから、目をつぶっているにすぎません。もちろん相当悪質な行為ならば、テレビ局等はそれなりのしかるべき対応をするでしょう。)。放送された番組の著作権は、依然テレビ局等番組制作側にあります

著作物の著作権は、その権利が他者に移らない限りは、依然その権利は著作権者にあります。著作物(の複製)を享受し、所有し、(私的に)使用しても、その著作権があなたに移ったわけではけっしてありません。


なぜこんなことを突然書いたかといいますと、この点を勘違いされている人に会ったからで、こういう人がいるのか、と驚いた次第です。
どうやら世の中の著作権に対する認識はまだまだのようです。