知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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二次創作物について雑感

アメリカでは、許諾なく違法に作られた二次創作物には、著作権は認められていません。明文で規定されています(米国著作権法第103条)。
日本では、アメリカとは対照的に、通説ですが、許諾なき違法二次創作物にも著作権が認められると考えられています。ただ、そのような明文の規定はありません。

日本は、同人誌がさかんで、コミケが行われたりしていますが、それにはこのような背景が関係しているのかもしれませんね。

でも、突き詰めて考えると、日本の場合でも、許諾なき違法な二次創作物の著作権行使は、現実的に難しいでしょう。
例えば、著作(権)者Aの許諾なく、Bが勝手に二次創作物たる同人誌マンガを作ったが、その同人誌マンガが、勝手にCにより全ページをインターネット上にアップされ、しかも有料でダウンロードでき、それでCは収入を得ている、とします。
Bには、二次創作物たる同人誌マンガの著作権があるわけですから、権利行使をし、最悪Cを著作権侵害だと訴え裁判を起こすことができ、おそらく勝てるでしょう。
しかし、それは、別な見方をすれば、裁判の場でBがAの著作権を侵害しているという事実を認めた、ということに他なりません。ですから、AはBに対し、著作権侵害を主張、最悪裁判を起こすでしょう。もちろん、AはBに対して黙認することもできます。ですが、大っぴらになった以上放っておくことはできないでしょう。なんらかの権利行使はするでしょう。
このようなリスクを負ってまで、Bは自らの違法二次創作物の著作権を主張するでしょうか?私は疑問です。そして、著作権の行使ができない以上、それは著作権がないのも同然だと考えます。
ですので、行きつく先は、結果としては、アメリカの場合とさほど変わらないかと思います。


ただ、日本は、素人が作る無許諾の違法な二次創作物に対して、比較的寛容だったと思います。大事の問題にならない限りは、割と黙認している感じがしています。ある意味、それは「日本の文化」の形なのかもしれませんね。
ただ、ネット上で簡単に著作権侵害がおこるようになった影響もあると思いますが、最近では、昔のように黙認してすますことが、できなくなってきた気がします。

そこで、著作(権)者側も、いろいろ考えている様でして、著作物の二次創作利用についてのガイドラインを作ったりして、ある程度の二次創作には、理解を示してむしろあらかじめ積極的に認めているようです。

例えば、「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」などの著名作品を持つ作家の田中芳樹さんなど、いろいろな作家が所属する事務所「らいとすたっふ」は、二次創作に関するガイドラインを、4月に改定しました(ということは、以前からこのガイドラインがあったのですね。流石です)。
あと、漫画家集団のCLAMPも、二次創作に関するガイドラインを公表しています。
二次創作に関するガイドラインが公表されているのですから、このガイドラインに従って作られた二次創作については、ちゃんと許諾を与えられているということになります。

初音ミク」も同様にガイドラインがあるみたいで、「初音ミク」の絵は、ガイドラインに従う形であるなら、自由に利用できるみたいです。


こういう、二次創作に関するガイドラインを積極的に著作(権)者側が示しているのっていいですよね。
著作権法第1条をある意味一番体現しているのではないか、なんて考えたりしてしまいます。