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知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

おそらく商標法はいずれ改正されるのでは?

あらたに始まった、日本の「地理的表示保護制度」。
以前これについて書いた時、最後の方で「地理的表示と商標の『抵触』」についていずれ書きたいと書きましたが、すぐに情報を得ることができましたので、ちょっと書いてみます。


⑴先に商標が登録されていて、後願で地理的表示の出願申請がされた場合

地理的表示法によりますと、基本的には、先に商標登録がなされていると、競合する地理的表示の後願出願申請は拒絶されるようです。
ただし、商標権者から許諾を得ている場合、及び商標権者自身による地理的表示の出願申請の場合は、その出願申請は前述の理由で拒絶はされないようです。。このあたりはEUと似ていますね。


⑵先に地理的表示が登録されていて、後願で商標の出願申請がされた場合

現行商標法では、この点はあまりはっきりしていません。葡萄酒や蒸留酒については商標法第4条1項17号に規定されているのでこれを適用するでしょうが、他の農林水産物等については、明確な規定はないのでわかりません。(なお、酒類について、1990年代に、すでに国税庁による地理的表示制度が始まり今も存在している様ですが、適用数は少ないらしいです。私も今まで知りませんでした。)
おそらく、商標の先願主義の点や地理的表示には独占権を認めないという点から、先に登録されている地理的表示に対して、競合する商標の後願は拒絶され登録は認められないと考えますが、この点について商標法条項文上明確に記載されておらず、はっきりしていません。
ですから、いずれこの点で商標法は改正されることになる、と私は思います。現行商標法の解釈だけでクリアするには、無理があると思います。


とにかく、⑴でも⑵でも、「地理的表示」の本質的特徴の一つである、「独占的使用、独占権は認められない」、この点は十分考慮すべきだと私は考えます。
その点で、⑴では、後願の地理的表示が「登録された」場合、その利用に対して、商標権者の権利行使は制限される、と考えます。後願の地理的表示が「登録されない」のであるならば、先に登録されている商標については、当然なんら変わりません。
また、⑵でも同様で、地理的表示に「独占的使用、独占権が認められていない」以上、これに競合する商標が後願で登録されてしまうと、「独占的使用、独占権が認められてしまう」競合後願商標により、先に登録されている地理的表示が脅かされかねないと考えます。
ですから、①先に登録されている地理的表示がある場合は、後願商標は拒絶されるようにする(第4条1項を改正する等)か、②先に登録された地理的表示の出願申請者と同一のものによる申請の後願競合商標については登録される可能性はあるものの、登録されても先に登録された地理的表示に対する権利行使は当然制限されるようにする(商標法にあらたな条項文を設ける等)(商標(地域団体商標)にせよ地理的表示にせよ、これらを使用するのは権利者だけではないことを考慮する必要があると考えます)か、いずれにせよ商標法を改正する必要は間違いなくあると私は考えます。


なお、あくまで上記は「日本の場合」について書いてあります。海外ではいろいろ異なります。

例えば、
◯EU   日本と似ています(というより日本がEUを参考にして似せているというべきですね。)。EUは、原則地理的表示と商標の併存を認めるスタンスです。
ですから、先に商標登録されていても、それと抵触する地理的表示の登録申請はできます。ただし、需要者が誤認するような地理的表示は登録が認められず拒絶されるようです。
逆に、地理的表示の登録申請が先にされている、もしくは先に登録されている場合は、後願商標出願は拒絶され登録できないようです。ただし、地理的表示の登録前から、その地理的表示と抵触する、善意使用の先使用未登録商標は、需要の誤認がおきない限りは、これまでと同じ範囲であるなら、その商標の使用が認められるそうです。
◯韓国   完全先願主義のようです。先に商標登録されていれば後願の地理的表示は登録されないようです(例外的に、併存を認める場合もあるらしいです。)し、先に地理的表示が登録されていれば後願の商標は登録されないようです(近年になって、EUの制度に近いものになったらしいですが、詳しくはわかりません。すみません。)。
◯米国    独立した地理的表示保護の法制度はなく、商標の制度内において普通商標あるいは証明商標によって地理的表示の保護をしている様ですが、これはあくまで商標制度にすぎず、地理的表示保護ではありません。EUとは異なり、その対極にあるといえます。その意味でも、TPPの成り行きは要注目なのではないかと思います。
◯中国   地理的表示と商標の抵触については、法条項文上の記述はありません。なお、地理的表示に関する法条項文はTRIPS協定の条項文をそのまま引用しているらしいです。

国によって、本当に違いますね。