知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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日本でも地理的表示の保護制度が始まりましたね

(後日追記。以下の文章において、「商標」と書いてありますが、これは「地域団体商標」を念頭において書いています。)


平成27年6月1日から日本でも、諸外国のように、地理的表示の保護制度が始まりました。

商標とどう違うのか、と思われる方も少なくないと思います。実は私もあまり詳しく知りません。
まあ、書ける範囲で、地理的表示保護制度についてちょっと書いてみたいと思います。


地理的表示保護制度は、商標制度とは別の、国による農林水産物の地域ブランドの保護制度です。
農林水産省が、各地域の農林水産物等に対してその品質を保証してブランド保護をする、いわば「お墨付き」を与える制度、といっていいと思います。

この地理的表示保護制度において、登録が認められた農林水産物等には、GI(Geographical Indication「地理的表示」)マークをつけることができます。

ちなみに、このGIマーク自体は、商標登録されています。日本だけでなく、海外の主要な国でも商標登録されているそうです。なお、「証明商標」は日本の商標制度ではありませんので、このGIマークは、普通の商標と同様に登録されています。海外では、その国によって、証明商標として、GIマークが登録されているかもしれません。

農林水産物にこのGIマークがつけられているということは、その農林水産物の地理的表示が農林水産省により認められ登録された、ということです。別ないい方をすれば、GIマークはその農林水産物等の地理的表示が登録されていることの証であり、またその農林水産物の品質が農林水産省によって保証されたことを意味します。

ただ、商標の制度とは異なり、地理的表示では、商標のような「独占的権利」として認めていません。
例えば、地域団体商標では、団体が商標登録し、団体及びその加盟者だけが地域団体商標を利用できます。故に独占権を認めているわけです。しかし、地理的表示においては、その地域の地理的表示としての登録故に、特定の団体やその団体の加盟者に独占権を認めるようなことはしていません。
じゃあ、誰にでもこの地理的表示が勝手に自由に使われてしまうのではないか?と疑問に思われるかもしれません。私も最初そう思ってしまいました。でも問題はありません。
例えば東京牛(実際にはありません。あくまで例です。)という農産物があるとします。これが、農林水産省により、その地理的表示が認められ登録されたとします。するとGIマークをつけることが認められます。それにより、農林水産省によって地理的表示が登録され保護されている、ということがわかります。消費者にとっては、東京牛の品質が農林水産省により認められ保証されている、ということが、このGIマークによってわかります(地理的表示の登録の際、農林水産省はその農林水産物等の品質もチェックしますので、品質の悪いものは地理的表示の登録ができませんので、GIマークをつけることができません。)。そしてそのマークは誰かれ自由に使えるものではありません。
根拠となる法としては、地理的表示法なる法律が制定されています。地理的表示の登録がされていないのにGIマークをつける行為や、GIマークを偽造してこれをつける行為などは、この法律により禁止されています。又、前述のとおり、GIマークは商標登録されていますので、勝手にGIマークをつける行為は、商標法違反でもあります。
地理的表示の違反行為がされてしまっても、その取り締まりは行政側がしてくれるので、地理的表示の利用者が裁判等により権利を守らなくてもいいというメリットが、地理的表示にはあります。
このような形で、地理的表示による保護制度は成り立っているのです。

まあこのあたりで、ボロがでないうちに書くのをやめます(笑)。ここに書いたことよりも詳しいことは、これからインターネットでも書籍でもどんどん書かれるでしょうから、そちらを御参照ください。


最後に。6月1日に、地理的表示保護制度が始まったということは、来年平成28年3月に行われる知的財産管理技能検定試験、あるいはこれ以降の試験には、地理的表示保護制度は出題できるわけです。ですから、次回の知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務試験では、地理的表示保護制度は出題されてもおかしくないでしょう。といいますか、私が出題者なら、必ず出題します。これだって立派なブランド保護の制度の一つですから。
単に地理的表示保護制度に関することを出題するのではなく、商標(地域団体商標等)と絡めた出題をするとか、EUはじめ諸外国の地理的表示の保護制度と絡めた出題をするとか、TRIPS協定を絡めて出題するとか、少しひねった出題の仕方をするのではないかと思います。1級試験ですから。
制度がどのようなものかをきくような問題なら、1級だけでなく、2級や3級でも出題されてもおかしくないでしょうね。

私も、ちゃんと勉強しておかないと。


まあ、いずれあらためて、地理的表示について書いてみたいと思います。例えば「地理的表示と商標との抵触」なんて興味深いテーマです。ただ、突き詰めて細かい点まで考えると、結構奥が深そうで、はまりそうです…。