知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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書籍紹介その20 新商標教室

今回、正式にこの書籍を紹介するんですよね。私は、もうした気になっていました(笑)。


この書籍は、企業等での商標知財管理業務者から弁理士弁護士等の士業の方のレベルまで、商標に関わる全ての業務担当者が、必ず読むべきもの、いや基本書として傍らに置いておくべきもの、だと私は考えます。
まさに「新『商標教室』」、タイトルに偽りなし、です。

新商標教室

新商標教室


これは実は、次に書きます、旧書籍「商標教室 基礎編」のリニューアル、加筆修正版です。旧書籍「商標教室 基礎篇」は絶版ですが、この「新商標教室」は現在販売されている書籍です。なお、両者は出版社が異なりますので御注意を。

ちなみに、旧書籍「商標教室 基礎篇」には、「判例研究篇」「判例研究篇2」がありました。「新商標教室」については、出版社が別の書籍ですが、「最新判例からみる商標法の実務」「最新判例からみる商標法の実務Ⅱ2012」、これらの書籍が、「判例研究篇」「判例研究篇2」に対応する書籍にあたるといえるかと思います。


あらためて書くと、「『新商標教室』は、旧書籍『商標教室 基礎篇』の『リニューアル、加筆修正版』」と言えると思います。
「新商標教室」は、旧書籍「商標教室 基礎篇」とは、章立て構成はほぼ同じで似ていて、その内容は旧書籍「商標教室 基礎篇」を踏まえています。「商標教室 基礎篇」は、「商標論」「商品論」『顕著性論』「類似性論」「制度論」になっていますが、「新商標教室」では、「商標論」「商品論」『識別性論』「類似性論」「制度論」となっています。旧書籍「商標教室 基礎篇」もそうでしたが、「新商標教室」は、一般的な商標解説書籍とは違う、法条項の構成にはこだわっていない、前述のような独特な章立てになっていて、わかりやすいです。旧書籍「商標教室 基礎篇」、「新商標教室」、両者ともに取り入れた、商標(及びその法と制度)を理解しやすくするための章立てだと私は思います。
そして、その各章の内容ですが、「新商標教室」は、旧書籍「商標教室 基礎篇」とははるかにレベルが違うものになっていると言って良いかと思います。実際、「新商標教室」のページ分量は、旧書籍「商標教室 基礎篇」の約3倍位になっています。このようなページ分量の増加は、著者である小谷弁理士が長い弁理士キャリアのなかでつちかった知識と経験、これらがこの「新商標教室」に惜しみなく反映された証である、と私には思えてなりません。


「新商標教室」に書かれている論点は、あくまで基本的な事項ばかりです。しかし、その全てが本質的であり、実務的にとても重要かつ有益であります。「新商標教室」では、旧書籍「商標教室 基礎篇」よりも、さらに鋭く深く論点に切り込んでいます。武術でよく「基本だがすなわち究極であり奥義」なんて表現がありますが、この言葉がまさに当てはまると思います。

しかし、この論点は突き詰めると実に難しいです。著者の小谷弁理士でさえも、そのことをこの書籍で認めているように思えます。ケースによって、特許庁でも裁判所でも、異なる判断がされる場合が少なくありません。さらには、弁理士によっても判断が異なる場合になることが少なくありません。いわんや企業等で知財管理業務をしている担当者おや、です。
だからこそ、ある程度は自分自身で判断、決断ができるようにならなければだめだと、私は思います。
これは、弁理士や弁護士の存在を否定するものではありません。弁理士や弁護士は頼っていいですし積極的に頼るべき(別の言い方をすれば利用、活用すべき)だと思います。しかし、全てを弁理士、弁護士任せにしてはいけないと思います。弁理士、弁護士は法制度には詳しくとも、クライアント企業が置かれている立場にはいない以上、そのクライアント企業の理解には自ずと限界があります。よって任せきりにはできません。だから、頼るべきところは頼りつつも、弁理士、弁護士に対するいろいろな情報提供等はクライアントとして当然しなければなりませんし、また、弁理士、弁護士からの回答に対しての最終的な判断、決断は、自ら自己責任でしなければなりません。
企業等の実務での商標知財管理におけるその判断、決断の助けとなる書籍が、この「新商標教室」であると、私は思います。
そして、弁理士、弁護士にとっても、クライアント(が何を考え求めているのか)を理解するための助けになるだけでなく、自分に足りない知識や経験をサポートしてくれる、あるいは道に迷った時に道標になってくれるような、そんな頼もしい相棒になってくれる書籍ではないか、私は「新商標教室」をそう思います。


なお、この書籍は2年前、2013年の6月に出版されましたので、当然、最新の商標の改正における、いわゆる「新しいタイプの商標」については、触れられていません。
しかし、この書籍に書かれた考え方は、「新しいタイプの商標」にも応用できると思います。といいますか、応用できるくらいこの書籍を読み込んでいただきたいと思います。私も、この書籍をそのように読みました。