知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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清酒の商標「久保田」と「Kubota」 漢字商標とローマ字商標を考てみる (2)

(前回の続きです。)

漢字の「久保田」商標ですが、登録されているほとんどが、筆で書いたような、いわばロゴデザインされたものですが、標準文字(ゴシック体みたいなもの)でも、登録されたものがあります。

また「久保田」と言えば、日本酒好きあるいは日本酒に詳しい人でなければ、まず人の苗字と認識するでしょう。その意味で、この「久保田」は、第3条第1項4号に該当すると思います。標準文字の漢字の商標「久保田」であるなら、なおさらそうだと思います。
でも、そうではないのは、漢字の商標「久保田」自体には、清酒、日本酒という指定商品においては著名で、商標の識別力があるとされたから、であると私は考えます。昔から漢字の「久保田」という名を使用してきたことで、清酒、日本酒の「久保田」の名に、商標として識別力がついたとも考えられると思います。

そこで、ローマ字の「Kubota」を考えてみます。私は、この場合でも、同じことなのではないかと思います。
ただ単に、「Kubota」と言われたら、日本酒好きの私も、人の名前を先に思い浮かべるでしょう。でも、指定商品は清酒、日本酒です。指定商品が清酒、日本酒で、商標が「Kubota」ならば、例えローマ字表記でも、多くの人々が日本酒「久保田」を思い浮かべ、このことだと考えるのではないでしょうか。

だから、ローマ字表記であることだけで「Kubota」が直ちに第3条第1項4号の適用となる、と考えてしまうのは、私には違和感しか感じられません。

特許庁は、ある程度該当標章の商品が周知著名であるならば、指定商品と商標の関係について、しっかり考慮して判断することを徹底するべきではないか、と私は考えます。
指定商品と商標との関係を考慮して、なおまだ「識別力がないと言い切れる」ならば、審査で拒絶査定をだして構わないと思いますし、さらに不服審判請求をされてもこれを認めなくていいと思います。
ただ、今回は清酒が指定商品です。だから、清酒、日本酒が好きな人「を中心に」(「だけ」ではありません。)判断すべきで、酒を全く飲まない人を考慮し「すぎ」ての審査、審判はかえってよくないのではないかと、私は思います。
もっと言えば、ローマ字表記の場合は、漢字、ひらがな、カタカナと同様に考えるべきだと思います(アルファベットでの表記とはいえ、日本で生まれた日本の商品です。またローマ字表記は、外国の文字を使っても、外国語の単語の表記ではありません。あと、日本の商標である以上、アルファベットによる商標でも、日本の市場を前提として考えるべきだと思います。)。
そして、このようなことは、他の商品、他の役務の場合においても、同様に考えるべきではないか、と私は考えます。


ま、こんなこと書いても、私の戯言にしかすぎませんが(笑)。