知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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清酒の商標「久保田」と「Kubota」 漢字商標とローマ字商標を考てみる (1)

昨日の台風のような、急激な気圧の変化のせいか、昨日は急に体調が悪くなり、今日もまだ多少体調悪し、です。
皆様もお気をつけくださいませ。



さて、商標「久保田」の話です。

「久保田」という、日本酒好きには有名な酒があります。私も好きです。

これの商標である「久保田」、漢字での「久保田」は、商標登録されています。筆で書いたロゴのようなものから、いわゆる標準文字でも登録されています。

「久保田」のローマ字表記である「Kubota」も商標登録出願されていましたが、審査で拒絶されていました。そして、この拒絶査定に対する不服審判請求が特許庁に対してされましたが、結果この不服も認められませんでした。

ちなみに、数年前に、商標「久保田/Kubota」(日本語の久保田の部分は、筆で書いたようないわばロゴのような感じであり、ローマ字の部分はゴシック体のような感じでロゴではありません。これらが、一種の二段表記になっていて、久保田の部分は縦書き、Kubotaの部分は横書きです。)の出願があり、同じようにこれも審査で拒絶査定がだされ、不服審判をしていました。そして、こちらは拒絶審査が覆り登録となりました。

前者の商標「Kubota」は審判でも登録が認められず、後者の商標「久保田/Kubota」は審判で登録が認められたのは、どういう違いがあったからなのでしょうか?

そもそも、審査で認められなかった理由は、どちらのケースにおいても、商標法第3条第1項4号に該当する、つまり普通の名前の使用に該当するから識別力がない、と判断されたわけです。
これが、後者の場合、審判で覆ったのには、漢字の久保田の部分は識別力があると判断されたからです。審決例には、ローマ字の部分についての判断はなにも書かれてませんでしたが、おそらく識別力はないと判断したと思います。で、全体では識別力ありと判断したのではないか、と思います。
前者の場合は、ローマ字の部分だけですので、識別力なし、と判断され覆らなかったのではないかと、私は思います。このローマ字標章、もしロゴとしてデザインされたものであったなら、あるいはなんらかの識別力がありそうな図形マークと一緒だったら、識別力が認められ商標登録査定となったかもしれませんね。


そもそも、ローマ字の場合は第3条第1項4号にひっかかり、漢字の場合はひっかからない、というのは、日本酒「久保田」の場合には、個人的になんか違和感を感じています。
ただ単純に、ローマ字の「Kubota」では普通の名前と認識されるからと、商標法第3条第1項4号を適用して拒絶査定をしてよいものか、私は疑問に思います。もし、ローマ字商標「Kubota」が第3条第1項4号に該当、識別力無しならば、漢字商標「久保田」(標準書体のもの。筆書きのものはロゴとして識別力があると思います。)はなおさら識別力無しではないか、と思いますが。



(次に続きます。)