知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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書籍紹介その19 新しい商標と商標権侵害

私は、年々本を読むスピードが遅くなってきています。大学生の時なら、このくらいの書籍なら、2日間あれば余裕で読むことができたのに、私は今年のGWをこの本一冊を読むことに費やしてしまいました。

新しい商標と商標権侵害―色彩、音からキャッチフレーズまで

新しい商標と商標権侵害―色彩、音からキャッチフレーズまで


もう発売されたにもかかわらず、amazonでは、写真はまだノーイメージなので、自分で写真を撮りました。こんな感じです。

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あら、横になってしまった(笑)。
ページ数が約600ページと、分厚いです。


書籍タイトルに「新しい商標」とありますが、新しい商標だけについて書かれた書籍ではありません。

新しいタイプの商標においても、(もちろん細かい点ではその商標だけに通じる考えというのはありますが、)識別性や類似性等の基本的な考えは従来となんら変わるものでありません。

おそらくそのこともあって、この書籍の第1章では、識別性や類似性、侵害論その他これまでの商標における基本的な考え方を、比較的新しいトピック(例えばアンブッシュマーケティング等)も交えてまとめています。

で、第2章からいよいよ新しい商標となるわけですが、いきなり今回の改正で新たに加えられた動きの商標や音商標等の話に入るのではなく、すでに導入されているが、文字商標や図形商標、いわゆる伝統的商標と比べれば新しい、立体商標や、小売役務商標、地域団体商標、アイコン商標、キャッチフレーズ商標、パロディー商標等その他、これらの商標をまず第2章でとりあげて、次に第3章で、動きの商標、色彩のみの商標、位置商標、音商標等今回新たに導入された商標の説明をしています。

第4章では、マドプロだけでなく、日本が加盟し近々日本においても発効される意匠の条約であるハーグ協定ジュネーブアクトについても説明しています(今のところ、ハーグ協定ジュネーブアクトについて説明してあるのは、書籍ではこれだけのようです。あとは、特許庁のホームページ等を御参考になるのが良いかと思います。来年の1級ブランド専門業務学科試験には、なんらかの形で出題してくるでしょうから、御自身で勉強しておかれるのが良いのでは、と思います。)。

第5章では、ブランド管理実務、ブランド戦略の話を書いています。第5章はわずか約50ページですが、なかなか示唆に富みます。

単に新しい商標の説明だけにとどまらず、従来からの商標の考え方から、現在における商標のもろもろのことについてまで、はば広くカバーしている書籍です。そしてこれらは、少なからずリンクしている、あるいはリンクして考えることができます。関連する意匠法制度や不正競争防止法にも触れています。
これ1冊に、重要ポイントをコンパクトにまとめた書籍です。各1章それぞれは、これだけで1冊書籍を書こうとすれば書けるくらいのテーマです(ちょっとオーバーでしょうか(笑)。)。それを必要以上に掘り下げず、かといって物足りなさを感じさせず、必要なことが必要な量と質でうまく書かれている書籍だと、私は思いました。ま、ひとつひとつはコンパクトでも、トータル600ページですけど(笑)。

現在の商標法制度におけるポイントをそれなりに一通り知りたければ、まずこの書籍を読めば把握できると思います。そしてこれらポイントを、よりもっと広げていきたかったり、あるいはさらに深く掘り下げていきたければ、他の書籍等にあたるなどすればいいのではないか、と私は思います。また自身で考えてみるのも勉強になると思います。注に紹介されている書籍や専門誌等が参考になると思います。
あ、あと基本的な用語等の説明はあまりしていないので、わからない言葉等は都度調べながら読み進めていくと、さらに理解がはやくなると思います。


そうそう、他の書籍といえば、青木弁理士は、ハーグ協定ジュネーブアクト関係の書籍も刊行予定のようです。こちらも楽しみです。
あと、出願された音商標について、その出願内容が公開されたようです。ネット上で出願された音を聞くことができるようです。ちなみに私はまだ聞いていません(笑)。