知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

もしかしたら…

以前に、「解説できず」とギブアップしました、第20回知的財産管理技能検定   、第2回1級ブランド分野学科試験の自分勉強用解説、43問目&44問目&45問目のうちの45問目ですが、「もしかしたら…」と、とあることを考えてみました。

それは…

「選択肢ウが『不適切』で『正解』である理由は、選択肢ウ(の前半部分)が英国商標法第3条第1項但書を否定していると考えられるから。」

です。


前半部分にはこう書かれています。

「使用により識別性を獲得したものと認められるには、使用されている製品の一部に出願商標が使用されているだけでは不十分であるところ」

この中の、「使用により識別性を獲得したものと認められるには」の 部分と、「使用されている製品の一部に出願商標が使用されている」とが、表記順序が逆であり(つまり、「『使用されている製品の一部に出願商標が使用されてい』るという当たり前のことがまず先にあり、そしてだからこそその出願商標は『使用により識別性を獲得したものと認められる』のかもしれない」のであり)、かつ「だけでは不十分であるところ」以下の文はうまくなりたっていません(基本、出願立体商標の使用「だけ」で十分識別性の獲得が認められるような場合でなければ、出願立体商標の登録が認められることはまずないからです。そして、そもそも使用しなくても「識別性有り」と認められ登録されるようなものであるならば、わざわざその出願商標の使用による識別性の獲得を証明しなくても登録されるわけです。だから、補助的に識別力のある平面商標を、識別力の弱いあるいはない出願立体商標に併せて使用すること自体がおかしいといえます。)。これらにより不適切な文となるのではないか、との考えにいたりました。

最初は、特に試験時においては、私は、「選択肢ウ前半部分は英国商標法第3条第1項但書を否定するもの」とは考えることはできませんでした。
それは、まず①「出願商標の使用」 → ②「消費者等による出願商標の認知、周知」という流れを考えてしまい、その②を経た結果としての③「出願商標の識別性の獲得」に至る、と考えたからです。試験時において、「出願商標が使用されている『だけ』では不十分」の部分について、②の「消費者等による出願商標の認知、周知」を頭の中でつけ加えて、私は考えてしまったのです。だから、最初は、選択肢ウは適切で不正解と考えたのです。

ですが、「(もともと識別性が弱いあるいは識別性がない)出願商標は、実際に使用されない限りにおいては、けっして識別性が獲得されることはない」わけです。このことは、英国商標法第3条第1項但書の英文(下線③)からは、自明のことです。
そして、「なおかつ実際に使用したからといって、必ずしも識別性が獲得されるとは限らない」ともいえるわけです。

もし、選択肢ウの文の前半部分が、例えば「製品の一部に出願立体商標が使用され、その使用により識別性を獲得したものと認められるのであればその出願商標の登録が認められることになるが、この立体商標の使用だけでは不十分で認められることはないと考え」というような文だとすれば、おそらく選択肢ウは適切な文となるだろうと考えます。ただこれならば内容としてはっきり正しいので、選択肢ウは不正解になってしまいます。


出題された選択肢ウの文は、そういう意味では不明確ではっきりしていないといえるでしょう。
とはいえ、(識別性がない)出願商標において、その出願商標を使用することは、「識別性を獲得『するための』『必要』条件」ですが、「識別性が獲得『できるための』『絶対』条件」ではありません。これだけは間違いないといえるのではないでしょうか。また、出願商標の使用は、前者においては「『必要』条件」ですから「十分」ですが、後者においては「『絶対』条件」ではありませんから必ずしも「十分」ではありません。


結果、結局、選択肢ウの文は「不適切」で、やはり「正解」なのです。


しかし、試験中の限られた時間の中では、このように考えることは私には無理でした。
他の人にも難しかったのではないかと思います。この問題の正解率を知りたいものです(おそらく高くはないと思います。)。