知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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音商標と音楽著作物①

まず前提事項として。

当たり前のことですが、全ての音楽著作物が音商標としても認められるわけではありませんし、全ての音商標が音楽著作物としても認められるわけではありません。
つまり、それぞれが重ならない部分があり、その部分は抵触はおこらない、ということです。

例えば、長い音楽著作物(もちろん未公開です)を登録しようと出願したとしても登録されない可能性があります。具体的にどのくらいの長さまでが商標として認められるかははっきりしているわけではありませんが、例えば10分くらいのものは音商標として認めるには長すぎではないでしょうか。この場合は、著作物としてしか考えることができないでしょう。まあ、何分までが商標登録が可能かを知りたいので、どなたか試しに長い音の商標を出願してみてください(笑)。

それから、すでに公表された音楽著作物が商標出願され登録されることは、おおいにありえるでしょう。しかし、著作者あるいは著作権者自身の商標出願でなく、他者が商標出願して登録された場合であるならば、以前にも書いたとおり、裁判にでも訴えて商標法第29条違反を主張しそれが認められれば、その商標使用はできなくなります。なお、商標法第29条をもって、例えば無効審判をおこすことまではできません。できるのは、使用できないようにすることだけです。

あと、音商標は、必ずしもメロディーでなければいけないわけではありません。某パソコンソフトウェアの起動音のような、音楽ではない無音階の「音」でも、独特なものである(商標制度でいうところの「顕著性」「識別性」がある)ならば、商標登録は認められるでしょう。また、顕著性や識別性が弱くても、未登録の状態でも商標の使用をし続けることにより周知されれば、顕著性や識別性が高まり、登録が認められることもあるでしょう。
いわゆる自然音もそうです。最初は一般的なありふれた音とされ、登録が認められることはまずありません。ですが、未登録商標として使用を続けたことで、顕著性や識別性が高まりそれが認められれば、商標登録される可能性がある、ということです。


そして、さらに書き加えれば、著作物あるいは商標としてそれぞれが区別でき別々に存在できる限りは、前述のとおり抵触することはありえませんので、問題にはならない、といえます。


ここまでは、基本的な前提事項です。次回は、抵触する場合について考察してみたいと思います。

②に続きます。