読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

Yahooニュースでの産経新聞の記事に物申します②

①の続きです。


⑵では、なぜ商標登録をされないといえるのでしょうか。

前回、「ラッスンゴレライ」を例で使用したので、今回もこれを使って考えてみたいと思います。

8.6秒バズーカが、「ラッスンゴレライ」を商標登録出願するとして、指定商品・指定役務を何にして出願するのでしょう?彼らのネタ、ギャグ、芸自体を、指定商品・指定役務とする出願であって、これで登録され権利保護がされるというのでしょうか?
そのようなことは決してありません。ネタ、ギャグ、芸が、そのままの権利を守るために商標登録されることは決してありませんし、聞いたこともありません。なぜなら、それは商標の権利保護の範囲外だからです。著作権での権利保護ならまだわかりますし可能性はあるかもしれませんが、商標ではありえません。
このことは、例えば一連の平成仮面ライダー作品の商標登録について考えれば、わかります。商標権の取得は、仮面ライダーの名をおもちゃやお菓子等の商品名に使用する(正確には使用を独占する)と同時に、反対にその名を関係なき第三者に勝手に商品に使用されないようにするためです。仮面ライダー作品自体を守るために商標登録しているのでは、ありませんし、商標登録では作品自体を守ることはできません。

だから、商標登録をするとしたら、前回の⑴のように、人気にあやかって、お菓子メーカーが自社のお菓子製品の商品名を「ラッスンゴレライ」にするとか、家電メーカーが、新しいスマホ製品等の商品名を「ラッスンゴレライ」にするとか、こういう形での使用での出願ならば、登録が認められる可能性はあるということになります(Yahooニュースでの専門家の発言部分は、おそらくこの意味で「未知数」ということなのではないか、と私は思います。)。もちろん、8.6秒バズーカあるいは所属事務所が商標登録をして、その上でメーカーに対してその使用許諾をするという形になるでしょう。メーカーが勝手に商標出願をして登録できたとしても、おそらく8.6秒バズーカに異議申立てされてしまいます。おそらくその異議は認められるのではないでしょうか。


また、仮に商標登録されたとして、そのようなネタ、ギャグ、芸の商標権を持つ芸人を、TV局等は求めるでしょうか。私ならば求めません。芸人やその所属事務所が変に権利を主張してきて、その権利処理をいちいちしなければならないかもしれないという、そのリスク、その面倒くささをTV局等は当然さけるでしょうから、ビッグタレントでもない限り、その芸人は自然とTV局等からは避けられてしまい、いずれ完全に干されるでしょう。それならば、芸人やその所属事務所は、商標登録をする必要性がまずありません。そして、もし他者(他社)にネタをパクられたなら、著作権侵害で裁判に訴えでればいいと思います。もしかしたら著作権を認めてくれるかもしれません。少なくとも、商標の保護対象ではありません。
それとも、商標登録に何か別の目的があるのでしょうか。私にはわかりかねます。
また、例えば、他者(他社)に先に、商標登録されてしまったあるいは商標的に使用されたとして、他者(他社)が商標権侵害を主張してきたとしても、そもそもネタ、ギャグ、芸としての使用は、商標としての使用ではありません。だから商標権侵害ではありませんし、ありえません。
さらに、自らの方の著作権の権利がその商標登録よりも先に発生しているのであるならば、商標法第29条違反を主張して、逆にその商標の使用ができないようにしてしまえばいいのです(もっとも自らの著作権が先に発生していることの証明をしなければなりませんが。)。
なお、先に商標登録されていることを主張して、その商標登録よりも後で著作権が発生した著作物に対して先商標権に抵触しているというケースは、もしかしたら実際にはあるのかもしれませんが、少なくとも私は聞いたことはありません。また、私の記憶に間違いがなければ著作権法にこれについての条文はなかったと思います。つまり、他の種類の知的財産権等既存権利との調整規定は、著作権法にはなかったはずです。これについてはいずれ、「音商標と音楽著作物」をテーマにした考察をしたいと思っています。



Yahooニュースでの産経新聞の記事は、ここまで書かなければ記事としては片手落ちではないでしょうか。説明不足です。誤解を招きかねない余計なことは、書くべきではなかったと思います。あれでは、記事を書いたであろう記者は、商標について何も知らず、無知でバカで無理解であると、自らさらしだしているだけです。知らないならば、知ったかぶって「一発芸の商標登録」などと、訳のわからないことを書かないことです。この記事が産経新聞の記事なのですから、もう情けないやらあきれるやら、です。


4月3日(金)の、TBSの朝のニュース番組「朝チャン!」でも、「一発芸の商標登録」について取り上げられていましたが、こちらは簡潔に「商品名としてであるならば、当然一発芸も登録されうる。」と普通のコメントがありました。それでも、説明不足の感はいなめませんけれども、誤解をまねくことを言わないだけまだマシです。


まあ、マスコミの皆さんには、ちゃんと商標を知って理解していただいて、その上でわかりやすく報道していただきたいものです。


追記
4月5日のフジテレビ「ワイドナショー」では、この「一発芸と商標登録」のニュースをした際に、番組にレギュラー出演されている弁護士がちゃんと補足説明されていました。流石です。