知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第2回1級ブランド専門業務学科試験問題 自分学習用解説 18問目 (加筆修正有)

今回は18問目です。
 
 
第20回知的財産管理技能検定   第2回1級ブランド分野学科試験の自分勉強用解説、18問目について書きます。
 
 
18問目は、デザイン保護の検討事例についての問題で、「適切」な文章内容の選択肢を選ぶ問題です。
 
選択肢アは間違いです。意匠においては、その登録出願には、原則、意匠に係る物品の六面図が必要なのですが、例えば、右側面図と左側面図が同一であるならば、その旨を説明する文を記載することで、どちらかの図を省略することができます。ですが、この選択肢においては、「右側面図と左側面図は左右対称」とあります。つまり、これは同一ではありませんから、この場合省略することはできません。六面全ての図を用意して出願しなければなりません。
(2015年7月9日修正。コメントにて御指摘いただいた通り、左右対称の場合でも、その旨の説明文を記載して、どちらかの図を省略可能です。ついでに書きますと、正面図と背面図の場合でも同じで、同一又は対称の場合は、その旨の説明を記載すれば、どちらかの図を省略可能です。しかし、そうなりますと、アの文のどこがおかしいのでしょう?公式解答はウなので、アの文は間違っていることになるのですが…。)
選択肢イは間違いです。「部分意匠」の欄を設けること、願書の「意匠に係る物品」の欄には、「カメラのグリップ」ではなく「カメラ」と記載すること、これらは正しいです。図面の描き方についても、実際に意匠登録を受けようとする部分は実線で描き、それ以外は破線で描いて、意匠登録を受けようとする部分が特定できる様にすること、これも正しいです。しかし、「願書の記載については、これら以外はすべて全体意匠の場合と同じだ。」と書かれているのは間違いです。他にも部分意匠の願書の記載において注意することがあります。「意匠の説明」欄に、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようかする部分である」旨を記載しなければなりません。前述のとおりに図面を描いても、この説明の記載がないと部分意匠の出現は認められません。また、図面でない写真、雛形、見本の場合は、どの方法(写真、雛形、見本)によって部分意匠がどう特定されるか、それを説明しなければなりません。それを「全体意匠の場合と同じ」とあるのは、間違いといえるでしょう。
選択肢ウは正しいです。パリ条約では、他同盟国での特許出願を基礎とした実用新案出願の優先権主張、あるいはその逆、他同盟国での実用新案出願を基礎とした意匠出願の優先権主張、これらについては書かれていますが、他同盟国での特許出願を基礎とした意匠出願の優先権権主張についての記載はありません。この場合、同盟国各国がそれぞれ独自に判断して決められます。日本の場合できまして、優先権主張の効果が認められます。
しかし、ここまで細かいこと、ほとんどの受験者は知らなかったのでは?私は、当然試験日の時点では、全く知りませんでした。
選択肢エは間違いです。「図面を追加したりする補正をすること」は、「必ず要旨変更に該当するため補正却下となってしまう。」のは正しいですが、「願書の『意匠に係る物品の説明』の欄を追加して、この香水瓶の使用方法の説明を記載」する補正をすることは、必ず要旨変更となるとは限らず、ならない場合もあると考えられています。これが、例えば「意匠に係る物品の説明」の欄が最初から願書にありかつ説明がされていてこの説明にさらに説明を追加する場合ならばこれは要旨変更となりえますが、欄がもともとなく欄を追加して説明を記載して内容を明確にする場合は要旨変更にならない、とされています。
 
よって、選択肢ウが「適切」で正解です。
 
 
ところで、みなさんは、18問目をどう思いましたか?
私は、この問題は、悪問とは思いませんが、知的財産管理技能検定試験にあまりふさわしくない問題だと思いました。なんていうか、重箱の隅をつつく様な問題で、意地が悪く、いやらしいです。
 
選択肢イや選択肢エのような文章は、出題選択肢としては、けっして良くないと思います。特に選択肢イはひっかけとしか思えません。
また、選択肢ウのような細かな知識まで問う問題は、弁理士試験の択一ならわかりますが、知的財産管理技能検定1級ではどうなのかな?と私は思います。いささかtoo muchなのではないでしょうか。
 
ちなみに、私は、なぜか「不適切」なものを選べ、と勘違いしてしまい、選択肢アを選んでしまいました。つまり、選択肢イ、ウ、エは正しく「適切」と考えてしまいました。
トホホなケアレスミス(笑)。
 
 
2015年7月9日加筆。
今回いただいた御指摘に基づき、ちゃんと調べ、問18についての説明に、加筆修正をいたしました。そうなると、選択肢アがなぜ間違いなのか疑問が残ります。その意味も加えて、問18はやはり「悪問」です!