知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第2回1級ブランド専門業務学科試験問題 自分学習用解説 6問目&7問目&8問目 その2

(前回の続きです)

今回は6問目&7問目&8問目のうち、7問目&8問目です。


7問目は、契約書案の内容検討にあたっての担当者の考えについての問題で、「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは間違いです。選択肢の説明文の前半は契約書に書かれていて正しいのですが、後半部分が間違っています。商標の場合、通常使用権は、特許庁に登録しないと第三者に対抗できません。特許のような当然対抗制度ではありませんので、違います。
選択肢イは正しいです。通常使用権者は、自ら差止請求することはできず、商標権者に差止請求をしてもらわなければなりません。その場合、通常使用権者は、本契約上、契約書の侵害排除に関する規定に基づかなけばなりません。
選択肢ウは正しいです。契約書に規定されているとおりで、事前に契約相手(商標権者)に書面による承諾なく、第三者たる子会社に委託する行為は再許諾に該当し、本契約のもとでは違反行為に該当します。
選択肢エは正しいです。「本商標権の有効性に疑義を提起したときは、本契約を解除できる」と本契約書に規定があります。そして、この契約条項に従い契約解除することは、独占禁止法に抵触しません。

よって、選択肢アが「不適切」で正解です。


8問目は、使用許諾契約書の内容に関する会話についての問題で、「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは正しいです。契約書に使用地域が「日本」と規定されている以上、輸出での当該商標使用はできません。通常使用権に係る商品を輸出したいならば、契約書上の条件に「輸出」を追加してもらうよう要求し、契約内容を変えてもらわなければなりません。
選択肢イは正しいです。商標『BCDE Plus』は、商標『BCDE』とは類似であるとしても、同一ではありません。本契約が商標『BCDE』の使用に対する許諾である以上、商標『BCDE Plus』を使用するのは、契約の範囲外での使用となります。これは「禁止権」の範囲です。当然「専用権」の範囲でしか使用できません。
選択肢ウは正しいです。本契約が、第9類のコンピュータプログラムが対象である以上、第9類に該当する商品にしか本商標を使用できず、第42類のインターネットを介したコンピュータプログラムを提供するという役務の商標として使用することができません。これらは、いわゆる備考類似の関係ですが、専用権の範囲である第9類のコンピュータプログラムでしか商標の使用はできず、禁止権の範囲である第42類のインターネットを介したコンピュータプログラムを提供するという役務での商標の使用はできません。類似範囲に拡張して使用すると当然契約違反になります。
選択肢エは間違いです。「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定められます。」の部分は正しいです。
この契約における商標が「標準文字」で登録になっているので、この商標は、標準的な文字フォント(明朝体、ゴシック体等)での使用で、通常想定される使用が認められている、ということになります。特殊なロゴデザインでの使用は、想定外でできません。
さて、この選択肢の文には、「願書に記載された書体でのみ使用可能」とありますが、文字商標を標準文字にて登録する場合は、願書にて「登録したい文字商標の文字」が「標準文字」である旨を記載して、具体的な商標例は記載しませんので、明朝体、ゴシック体等、あるいはロゴなど、使用する書体が願書に記載されることはありえません。ですからこの部分が間違いといえます。

よって、選択肢エが「不適切」で正解です。