知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

訂正補足 『試験問題「私流説明」 5問目』の再解説

以前書いたこのブログで、気になったこと。気がついたことがあるので、訂正補足を書きます。


第2回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験日まで、残り約2週間となりました。
そこで、過去問をあらためてやり直したり、過去にこのブログに書いた「自分用解説」を見直していたところ、第1回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の5問目の説明が、てきとうでいい加減であり書いていることがわかりにくかったので、訂正補足してあらためて説明することにしました。



5問目は「英語での商標権譲渡契約書の問題」です。これは
「不適切」な内容の選択肢を選ぶ問題です。

選択肢アは、出願日の確認について書かれています。
英文譲渡契約書案で、譲渡対象商標についての記述を見ますと、「Application Date  30.01.2013」とあります。「出願日 2013年1月30日」ということです。この出願日から考えると既に審査結果がでている可能性があります。
そうなると、選択肢内容はもっともですから、よって選択肢アは「適切」です。

選択肢イは、譲渡人と譲受人の記載の確認について書かれています。
英文譲渡契約書案を見ると、譲渡人(Assignor)と譲受人(Assignee)が逆に記載されています。
ですのでこの選択肢イも「適切」です。

選択肢ウは、goodwillについて規定されているかどうかの確認について書かれています。
以前はこの選択肢ウの内容を「不適切」としましたが、これは間違いで実は「適切」です。
この英文譲渡契約書案をよく読むと、goodwill(これについてはすいませんが皆さん自身でお調べください。)について書かれていないのがわかります。そして、特にアメリカでは、商標権の譲渡契約において、商標とgoodwillをあわせての譲渡契約の締結をします。
ですから、この選択肢ウも「適切」なのです。

以前に書いたとおり、これで解答がエと導きだせます。しかし、以前のブログの文では、この後の説明内容があまりにひどかったので、以下のように、訂正補足して説明いたします。

選択肢エはY社が単独出願しているかの確認についての問題です。
念のため選択肢エを確認するため、英文譲渡契約書案を読むます。そうしますといくつかの文で、'proprietor'なる単語が見られます。これは「権利保有者」を意味します。
前文における3番目の文で、譲渡人は、アメリカでの本商標の、「権利保有者」であり利益享受者である、と書かれています。
そして、契約書主文における2番目の文で、「譲渡人は、自身が、この地域における、本商標を由来とする、また関係のある、全ての権利、権原、利益の『単独の権利保有者』であること、そして譲渡人から譲受人へのこの商標の譲渡は、この地域内で、第三者の知的財産権を侵害することはないこと、以上を表明し保証する。」、と書かれています。
「単独の権利保有者」ということは、「単独で出願したから」と考えられます。ですから、英文譲渡契約書案には、「共同出願人がいない」と解釈できる内容の文が、ちゃんと記載されていることになります。
よって、選択肢エは間違い、ということになります。

契約書から単独で出願していることは通常記載しないしそこまでわからない、というようなことを以前に書きましたが、これは私の間違いです。
ただ、契約書に書いてあることは、念のため、自分で商標の登録の記録等でその確認ができるならすべきです。
前にも書きましたとおり、自分で調べることは大事なことです。相手を信じないわけではありませんが、悪意はなくて単に書き忘れている可能性は十分ありえることです。そしてこれは、ちゃんと確認して、間違っているなら契約内容を修正しておかないと、後々面倒なことになりかねません。

ということで、エが「不適切」ということになり、エが正解になります。

英文契約書の問題は、やはり英文が読めないと話になりません。試験ではある程度の「速読力」が求められるのは仕方ないとはいえ、正解にたどり着くぐらいには「精読力」が求められる、ということですね。
この両立を図るには、読むべきポイントを正しく見つけて、余計なところは読まないようになること、そのためにはある程度は契約書読解に必要な単語力や文法力を持っていなければならない、ということです。

しかし、これでは知的財産の試験というより、英語の試験ですね(笑)。