書籍紹介その17 Q&A商標の使用
今朝の情報によりますと、特許庁は、今年の夏頃に、昨年から検討していた日本国内の商標の登録、更新等にかかる費用の7年ぶりの改定について、どうやら実施するようです。今回も印紙代が安くなる方向です。ちょっと嬉しいです(笑)。社内で商標権利化のための予算の確保がしやすくなる(笑)。
ま、それはともかく、本編にはいりましょう(笑)。
私が、法律系(知財系、契約系などなど)の書籍を読むのは、3パターンの理由があります。
一つ目は、会社での業務に役立てるためです。
二つ目は、資格検定の試験に合格するためのテキスト、資料として活用するためです。
三つ目は、自分の知的好奇心を満たすためです。
知財系を例にして言えば、商標については、一つ目が主です(が、二つ目、三つ目もあります。)。特許、意匠は、二つ目が主というところで、著作権は、三つ目が主というところです(他の要素も多少なりともあります。)。
さて、以下の書籍はどれに当てはまるでしょうか。
世界52カ国の商標実務家の寄稿によるQ&A商標の使用―商標の使用を構成するか否かの問題について (現代産業選書―知的財産実務シリーズ)
- 作者: 深見久郎,深見特許事務所
- 出版社/メーカー: 経済産業調査会
- 発売日: 2009/06
- メディア: 単行本
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まあ、①の理由ではありません。
最初は、知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験に役に立つかな、と思った(前述の理由で言えば②)のですが、すぐに「違うな」と思いました。あの当時は、試験勉強に役立ちそうならばと、いろいろな書籍を買っていました。多分使った金は15万円はくだらないと(笑)。そして、1/4はまだ読んでないかも(笑)。
閑話休題、それでも結局この書籍を買ったのは、③の理由が大きかったわけです(と言い訳(笑))。
この書籍は、タイトルにあるとおり、(3地域含む)世界52ヶ国においての商標の使用について、その国、地域の商標実務家に質問した商標の使用に関するアンケートをまとめたものです。その国、地域の商標管轄官庁に聞いたわけではなく、よって裁判例を引用したとしてもその見解はその国、地域の商標実務家の私的なものでしかなく、だから「この国、地域はこうなんだな」と考えるのは早計というものです。とはいえ「この国ではこういう様に考えられているかもしれない」と目安にするくらいはできるかもしれません。
私の業務では、今のところ日本を含め3ヶ国1地域についておさえていれば十分なのですが、将来的にどうなるかわかりません。もし他の国、地域でも商標権取得の必要がでてきた場合、この書籍はなんらかの手助けになるかもしれません。
また、各国、各地域の商標実務家の目を通した形ではあれど、各国、各地域の商標制度について知ることができ、単純に商標法制度の各国、各地域の比較ができる、という点で、知的好奇心的に実に興味深いです。
ちょっと残念なのは、この書籍が出版されたのは2009年と、少し古いこと。来年、再来年あたりで改訂してくれないかな、と思います。数年経っていれば、かつてと状況が変わっていたり、法制度自体が変わったという場合は十分ありますから、最新の情報にアップデートして欲しいです。質問事項を少し増やしてもいいかもしれませんし、52ヶ国と言わず、国、地域数を増やすことができるなら増やして欲しいです。