知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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知的財産管理技能検定1級ブランド学科試験サンプル問題自分学習用解説その8

知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験サンプル問題自分用解説、今回はその8として、問15、問16について書きます。
問15、問16ともに、「製品開発業務委託契約」についての問題です。


まず、問題の前提として、X社とY社の間で「製品開発業務委託契約」が結ばれY社に対して製品開発業務を委託しています。そのY社はさらにアメリカのZ社と「製品開発業務再委託契約」を結んでいてZ社に対してX社から委託を受けた業務を再委託しています。


問15は、Z社が直接X社にしてきた報酬の支払い請求をどう扱うべきか、の問題で、不適切な選択肢を選びます。なお、この問題には選択肢エはありません。
アは正しいです。X社とZ社は直接の契約関係がない以上、原則Z社はX社に対して報酬を請求することはできません。
イは間違いです。X社が、製品開発業務にZ社が関与することを認識していたとしても、直接の契約関係がない以上、X社とZ社の間で黙示の業務委託の合意があるということはできません。よってZ社は直接の契約関係があるとX社に対して直接報酬を請求することはできません。
ウは正しいです。X社とZ社は直接の契約関係ではないです。しかし、X社がY社と交わした「製品開発業務委託契約」に「X社はZ社に対して報酬を支払うものとする」と規定し、このような契約を取り決めることはできます。この記載が契約にある場合、Z社はX社に対して直接報酬を請求することができます。
よって選択肢イが不適切で、正解です。


問16は、Z社がX社に対して契約は成立しているとして報酬の支払いを求め日本の裁判所に訴えを提起した場合の問題で、要は裁判管轄についての問題で、適切な選択肢を選ひます。
アは間違いです。Z社は日本に支店がなくても、裁判相手のX社(報酬の支払いという債務を履行する側)が日本の会社であり日本国内に住所があるわけですから、この場合は日本に裁判管轄が認められます。
イは間違いです。アと同様に考えます。Z社は製品開発業務をアメリカで行っています。だから、日本に住所はありません。しかし、もし日本に支店があり住所が日本にある場合や、裁判の相手であるX社が日本の会社の場合は、裁判管轄が日本に認められますので、日本の裁判所に訴えでることができます。
ウは正しいです。これもアと同様に考えます。Z社の製品開発業務は、X社の日本における業務に関するものであり、X社は日本の会社で日本に住所があるわけですから、日本の裁判所に管轄権があるのは正しいです。よって日本の裁判所に訴えでることができます。
エは間違いです。Y社とZ社との間の契約で、日本の裁判所を専属管轄とする旨の記載があっても、その契約はY社とZ社とを拘束はしても、契約当事者ではないX社には関係ありません。ですから、この契約を理由として、X社に支払い請求を求める裁判を日本の裁判所に訴えることはできません。
よって選択肢ウがで、正解です。

問15は知的財産とは関係ない契約の問題で、問16は裁判管轄についての問題(民事訴訟法の問題)です。