知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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平成26年改正著作権法 出版権 その2

(その1の続きです)

(今回も、以下は、私が個人的に考えていることもからめて、書いています。)


なぜあらたな著作隣接権にはならず「出版権」として改正されたのか、その理由については、私個人としては、非常に興味があります。
講師の小坂弁護士は個人的な見解を話していました。その詳細については省略いたしますが、私は「なるほど」と思いました。

ネット検索していたら、某協会のサイトで、「出版権」と著作隣接権を混同している書き方が見受けられました。これらは全く違います。少なくとも、日本の著作権法制度上、「出版権」は著作隣接権ではありません。出版には、著作隣接権は存在しません。私には、わざと誤った内容の書き方をしているとしか思えず、なんか作為的なものを感じました。出版社はそんなに著作隣接権(いわゆる日本では法制度的に認められてはいない版面権を含む)が欲しいのですかね?


話はそれますが、ネット検索していたら、いきなり冒頭に「編曲権は著作隣接権である」的に書いてあるサイトを見つけ、びっくりしました。編曲権は翻案権の一種で著作権であり、著作隣接権ではありません。著作者(著作権者)から許諾を得て、はじめて他社は編曲ができるのです。また編曲者は、編曲した二次著作物の著作者と言えます。
確認していなくてすみませんが、聞いた話では、日本での実際の印税システムでは、なぜか編曲者には著作権ではなく著作隣接権に基づく原盤印税の分配として支払われているらしく、このあたりが誤解の原因の一つではないか、と私は思います。


閑話休題。話を戻します。
個人的には、私は現在の著作隣接権は、実演家のみに与え、レコード製作者や、放送局、有線放送局には、権利の名称を変え、現在の著作隣接権での権利関係をもっと限定した形にして、権利を与えるべき、と考えています。「出版権」のように。
そもそも「メディアに現在のような著作隣接権は不要」と私は考えます。著作権を伝達する役目になんらかの権限を与えるという考えはもっともと思いますが、ただこれまで著作隣接権として無駄な権利までを与えてきたことは間違いではないか、なんて時々私は考えます(あくまで個人的な考えです。)。
メディアには「出版権」のようなもので十分ではないでしょうか。確かに、メディアにも、創造的な面があることは否定するつもりはありません。ですが、著作隣接権では、権利を与えすぎ、のような気が私にはします。「出版権」のような限定的範囲のもので十分ではないか、と思います。
もちろん、レコード製作者や、放送局、有線放送局が、最初から著作者(著作権者)である場合は話は別で、著作隣接権ではなく、当然普通に著作権があるわけです。
なんて書きましたが、いわゆるローマ条約(レコード製作については他にも、レコード保護条約やWIPO実演・レコード条約というのもあります。実演家に関するものは、最近では北京条約というのもあります。)に加盟している以上、今さらどうにもならないですけどね(笑)。
まあ、著作(隣接)権とメディア保護については、いずれ別の機会にあらためて考えてみたいと思います。



そうそう、「出版権」と著作隣接権、については、マンガ家の赤松健先生がTumblrでお書きになられている「赤松健の連絡帳」での講談社の方からの著作隣接権についての説明の話や、中山信弘明大特任教授や福井健策弁護士らが昨年なされた提言、などが実に興味深く、ぜひ御参照なさってください。
この講談社の方からの説明には、赤松先生だけでなく同じくマンガ家の森川ジョージ先生も同行されたとのことです。実際に著作物を作るクリエーターであるマンガ家の方々が、熱心に著作権(法制度)を理解してくださるのは、頼もしい限りですし、頭が下がる思いです。専門家レベルでなくてもいいので、クリエーターなら著作権(法制度)を多少なりとも理解をしていただきたいですし、その他関係者や一般の方々も、難しいからと毛嫌いせずに、著作権(法制度)を理解していただきたいものです。



今回のセミナーでは、出版業界関係の方々が受講されていらしたようです。やはり、出版業界関係者の関心は高かったようです。
今回の改正は、いわゆる「出版権」が公衆送信にまで広がったもので、インターネット業界でも要注目の法改正だと思います。。そういう意味でIT業界の方々も注目の改正と思っていますが、どうなのでしょうね。
ちなみに、私の場合は、直接業務とは関係がなく、あくまで個人的な興味であります(笑)。



あと、セミナー中、講師がちらっと「楽譜」とおっしゃったんですよね。これは具体的にどういうことなのかを尋ねたかったのですが、今回のセミナーとはずれる内容と思い、質問はしませんでした。
これについても、いずれあらためて書いてみたいと思います。