知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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知的財産管理技能検定1級ブランド学科試験サンプル問題自分学習用解説その3

知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験サンプル問題自分用解説、今回はその3として、問5、問6について書きます。
問5、問6ともに、「海外企業との英文の商標譲渡契約書のドラフト」についての問題です。


問5は、英文譲渡契約書案を確認した事項内容についての問題で、適切な選択肢を選びます。
アは正しいです。この英文契約書案ドラフトでは、商標の譲渡人と譲受人が逆になっていますから、修正が必要です。英文契約書案ドラフトを読めば気がつくことです。えっ、気がつきませんでしたか?では、英文契約書が読めるようになってください。
イは間違いです。英文契約書案ドラフトには、例えば'NOW THIS DEED WITNESS〜'から始まる文で、'all its right, title, and interest'と書かれていますから、全ての指定商品について譲渡されることになっていることが読めます。よって英文契約案ドラフトの修正は不要です。
ウは間違いです。英文契約書案ドラフトには、前文部分ではありますが、'in return for 1,000 TL (Turkish Lira)'と書かれていますから、英文契約書案ドラフトには、譲渡対価の金額はちゃんと記載されています。なお、この価格が妥当であるかどうかはわかりません。
エは間違いです。契約日と譲渡対象の商標の出願日(Application Date)の両方から考えて、商標が適切に更新されているか確認する必要があります(なお、トルコ商標法では期間計算は出願日起算で、トルコでの商標権利期間は出願の日から10年で、10年毎に更新できます。)。
よって選択肢アが適切で、正解です。


問6は、英文譲渡契約書案の読み方についての問題で、不適切な選択肢を選びます。
アは正しいです。選択肢の文のとおり、最初のパラグラフは前文と言われるところで、ここで契約当事者である各法人を特定するため、会社名、住所、設立準拠法等必要な情報を記載しておくことが多いです。
イは間違いです。Wheres条項は、説明条項で、契約の経緯が記載されたもので、本文ではありません。なお、余談ですが、ここも前文部分で、この条項で記載されたことには法的拘束力はないとされています。
ウは正しいです。選択肢の文のとおり、'IN WITNESS WHEREOF'は、日本語に訳すと「以上の証として」と言う意味で、契約書の最後のブロックにつけられることが多いです。
エは正しいです。この契約書では、いわゆる完全条項(Entire Agreement)の規定はありません。なお余談ですが、完全条項がないと言うことは、関係する他の契約の存在も考えられます。
よって選択肢イが不適切で、正解です。


基本的な英文読解能力と、英文契約書で使用される用語の知識力、英文契約書特有の表現に対する慣れ、これらの基本能力があればけっして難しい問題ではありません。