知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第1回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験35問目再解説

去年の5月くらいに、このブログにて、第1回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験全問題について、一通り自分用解説を書きました(部分的に端折った部分もあります。自分用解説ですから(笑))。

今年の3月に行われる第2回試験に向けて、この過去問を久々にやってみました。そうしたらなんと、一問間違った解説をしていたことに気がつきました。
ですので、第1回知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の35問目について再考しあらためて解説を書くことにしました。



35問目は、米国商標法制度の特徴である「使用主義」及び「使用の証明」についての問題です。「適切」なものを選んで答える問題です。

選択肢を見ていく前に。
アメリカの商標制度は、「使用主義」と言われています。「①実際に使用している」商標を出願し、認められると登録することができます。
ですが、「②使用意志に基づく」商標の出願もできます。この場合、一定期間内に商標の使用を開始し、その使用証明をし、正式に登録とならなければなりません。
そして、「③優先権に基づく(アメリカ国外の本国での出願に基づく)」商標の出願登録、「④アメリカ国外の本国での登録に基づく」商標の出願登録、と以上4つの登録パターンがあります。なお、これらは全てアメリカへの直接出願の場合であり、あとマドリッドプロトコル経由での出願ルートもありますが、あまりこれはおすすめできません。

話がそれました。これらを前提として、それぞれの選択肢を見ていきます。
選択肢アは間違いです。レストランがまだ開店していなくても、その準備段階で商標が使われていれば、これは立派に商標の使用とみなされますから、これは「商標の使用に基づく」登録になります。
選択肢イは間違いです。ウェブサイトでの商標使用も、商標の使用として認められますが、設問に書いてある通りの英語版のウェブサイトだからといって、これが米国内のサイトでの米国マーケット向けの商標の使用である、とは限りません。そもそもこのサイトが米国内のものであるかなどわかりません。外国のサイトでもアメリカのマーケット向けのものなら、アメリカでの商標の使用と認められる場合もありますが、この選択肢文からではそこまでわかることなどできません。
よって、選択肢ア、選択肢イについては、間違いということでいいかと思います。

さて、選択肢ウと選択肢エです。

以前の解説では、選択肢ウは間違い、と書きましが、正しいです。選択肢の文のとおりです。この選択肢ウの文は、前述の④のパターンでの登録です。アメリカでの商標登録の際、本国の登録証書を提出しているので、「出願や登録の際に」あらためてそのための使用証明を行う必要はありません。これが正しいです。

そして、以前の解説では、選択肢エは正しい、と書きましたが、間違いです。
商標登録を受けるために、出願時に使用証明をしなければならないのが、前述の①のパターンの場合です。
②のパターンの場合は、登録許可通知が届いてから、6ヶ月以内に「使用陳述書」を提出、及び使用証明をしなければなりません。実際に商標を使用し始めた段階で使用証明をしなければ、正式な商標の登録とはなりません。ちなみに、この「6ヶ月以内」は延長することができますが、その都度申請しなければなりません。最大5回延長できます。ですから最長3年の間に、「使用陳述書」の提出及び使用証明が必要となります。
なお、パターン③、パターン④では、商標登録を受けるために、出願時又は登録時に、使用証明をする必要はありません。
使用証明は、登録して5〜6年後、10年後の更新時、さらにそれ以降10年後の更新毎に、必ずしなければなりませんが、これは、①②③④さらにマドリッドプロトコルの全ての場合において共通です。
ですから、選択肢エの文は、全てのパターンに当てはまらず、間違いです。


従って正解はウとなります。しかしなぜ、あの時間違った解説を書いてしまったのだろうか、不思議です。