産業保護法としての著作権 契約の国アメリカ
以前に、書籍「著作権ーそれホント?」を紹介しました。
- 作者: 岡本薫
- 出版社/メーカー: 発明推進協会
- 発売日: 2014/04
- メディア: 単行本
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これを読んで昔からのある思いがますます強まりました。元々他の書籍にも昔から書いてあったことで、私も常々同感であることです。
それは何かと言いますと、「(日本の)著作権法は産業保護法である。」ということです。
他の国のことはわかりません(おそらく日本と似たようなものだとは思いますが)。
そのせいかどうかは定かではありませんが、少なくとも私には、このような流れで、旧著作権法から現行の著作権法にいたるまで、産業保護的なニュアンスのものがずっと残り続けている様な気がしています。1980年代からは、著作権法の産業保護的な意味合いがかなり強まってきて、それがさらにいっそう強まったのが、現行の著作権法である、と私には思えてならないのです。
そんなところに、この書籍を読みました。そして、私の考えは間違えではなかった、とダメ押しの確信をした次第なのです。
産業保護的なのは、どうやら日本だけではないみたいです。アメリカの著作権法なんてもろに産業保護法だと思います。もちろん個人の(著作権法制度上の)権利も保護はしているでしょう。でもやはり企業保護、産業保護に力を入れている様にしか私には思えません。特定の企業、産業が得をするように、法制度を作っていると思えて仕方がありません。
アメリカはロビー活動が盛んですから、企業や産業団体の圧力はものすごいものがあるので、さもありなん、だとは思います。
だからこそ、TPPの交渉では、あんなに自国の法制度的考えをアメリカはゴリ押ししているわけです。アメリカは、自国の社会での経験上、強く自分の意見を押していかねばならないということを、おそらくわかっているのでしょう。
著作権法制度は日本の方が、アメリカに比べはるかにレベルが高いようです。ですが、アメリカはそれを「契約」というものでカバーしています。「契約」というのは、いわば当事者間のみで通じる取り決め、「当事者間のみで適用される法」といえます。この「契約」が非常に高いレベルで発達しているのが、アメリカです。
「契約」は、当事者間の合意があってこそ成立します。その合意に達するまでは、いろいろなタフな交渉をお互いしているわけです。そんなアメリカですから、まあTPPで負ける交渉はしないでしょうね。
まさに、「契約」の国、アメリカです。