知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第1回知的財産管理技能検定2級学科試験の問題 署名と記名

ネットサーフィン(死語(笑))をしていたら、「第1回」知的財産管理技能検定「2級」学科試験のある問題について書かれていたブログを見つけました。
どうやら第1回の2級学科試験で、すでに知財とは関係ない問題が出されていた様です。第1回では純粋な「契約」に関する問題が出されていた様です。。


どういう問題かといいますと、

次の中から、2番目に効力が高いものはどれか

というもので、選択肢は、
①記名押印
②記名
③著名(ブログ記載のママ。「署名」の書き間違いか。)捺印
④署名
です。
答えは④署名です。ちなみに、1番目は③、3番目は①、4番目といいますか効力が全くないのが②、です。
これらの効力の高さは、高い方から順に、「署名捺印>署名>記名押印>記名」です。ですから②「署名」が正解となります。

ちなみに、署名は、ペンなどでの「自ら」による手書きの記入(いわゆる『サイン』)の場合を言い、記名は、ゴム印やワープロ打ち、「他人の」代筆等での記入の場合を言います。
捺印と押印は同じ意味なのですが、なぜか、「署名『捺印』」、「記名『押印』」と使いわけられています。おそらく、自分でするのが「捺印」で、他の人がしてもいいのが「押印」で、「捺印」の方が格上なのでしょう、きっと(笑)。


ブログを書かれた方は、「署名」と「記名押印」は(商取引においては)効力として同じなので、①も正解でいいではないかとお書きになられています。
確かに、商法には「署名(署名捺印ではなく、署名だけ、です)は記名押印で代用できる」旨が規定されています。よって企業間の契約においては署名と記名押印は同じ効力ですから、ブログの方のお気持ちは理解できます。
ただ、④と①の違いとして、「証拠能力の違い」があります。つまり、「『自分で』署名をしたか、『自分以外のものが』記名をした可能性があるか(記名は当然のこと、押印も印を借りて代わりにした可能性がないとはいえないからです)」によって、明らかに証拠能力には違いがある、ということです。

契約は、当事者同士の合意によるものですが、個人ではない企業の場合は、当事者「企業」同士による契約ということになります。実際には、代表取締役社長等権限を持った相応の立場の人間が、その名の元において企業を「代表」して、契約をすることになります。ですが、契約書面の準備は下のものがして、捺印(押印)のみを代表取締役社長等権限を持った相応の立場の人間がするケースが多いのではないでしょうか。この場合は「記名押印」です。これが3番目では効力上具合が悪いから、商法の規定で署名を記名押印に代えることができる(つまり「署名」と「記名押印」は効力的に同等である)と書かれたと私は考えます。
それでも、証拠能力としては、記名押印は署名より弱いことにはかわりがないと私は思います。権限を持った相応の立場の人間「自身」がする「署名」と、「記名押印」とは、やはり異なるのです。
だから、「署名」と「記名押印」では、商取引上の効力的には同程度でも、「署名」の方がやはり上だと思います。

なお、前述のとおりで、この署名(サイン)も、代表取締役社長等権限を持った相応の立場の人「本人自身」ではなく、下のものが(例え許諾は得ていても)「代わり」にサインをしたら(つまり代筆したら)、③④の行為ではなく、①②の行為になりますから、御注意ください。

また、基本的に、記名が認められるのはあくまで企業間での契約における場合であり、個人の契約の場合では原則認められません。個人の場合は原則、署名捺印、又は署名、だけです。契約だけでなく、契約に準ずるものも同様です。だから、履歴書等は、他の部分はワープロ打ちでも、名前だけは自筆であるべきなのです。名前がワープロ打ちに押印であるのは本来だめなのに、社会慣習的に許される様になったということです(でも、学生の場合は、履歴書やエントリーシートは、未だに全て自筆でないとだめらしい様ですね。)。



しかし、第1回から2級学科試験で、知財とは関係ない純粋な契約の問題がでていたとは、2級学科試験あなどれない。