知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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自分学習用解説 第19回知的財産管理技能検定2級学科試験問題 その9

第19回知的財産管理技能検定2級学科試験問題、自分学習用解説、今回はその9、17問目と18問目です。


問17は、海外で模倣品が市場に出現した場合の対策についてです。
選択肢アは間違いです。模倣品の製造者や販売者に関する情報は、自社で収集する情報だけを信頼するのではなく、調査会社に調査を依頼するのは当然ありです。自社による自力の情報収集には限界があります。ましてや、調査対象は海外なのですから、外部に調査を依頼しなければ、その調査はかなり困難です。もし調査会社から自社の情報が漏れる可能性があるなど信頼できない場合は、機密保持契約を結ぶなど対策を講じます。調査会社を上手に活用しましょう。
選択肢イは間違いです。「模倣品が製造された国から他国への輸出の差止を、当該模倣品が製造された国の税関に申し立てても、輸出にはその国における知的財産権の効力は及ばない」かどうかは、その国の法制度によります。だからこそ、むしろその国の法制度を調査する必要があります。
選択肢ウは正しいです。模倣品を発見した場合に救済を求めるにあたっては、統一された模倣品に関する侵害救済のための国際機関は存在しませんから、各国毎に、当該国で定められた法制度やその国の機関に従って、所定の手続をしなければ、侵害の救済はされません。だからこそ、選択肢イのようにその国の法制度を調査する必要があるのです。
選択肢エは間違いです。日本の税関に輸入差止の申立てをすることができるのは、特許権等の知的財産権の「登録を受けた」権利者だけとは限りません。例えば、著作権ですが、そもそも無登録主義ですから、登録する必要がありません。著作権には登録制度はありますが、これは権利付与のための要件ではなく証明のための任意の登録制度であり、権利付与のために権利者が必ず登録しなければならないわけではありません。また、不正競争防止法には、そもそも登録制度などありません。だから「登録を受けた」というのは間違いです。
よって正解はウです。


問18は、特許出願に対する拒絶査定、拒絶査定不服審判についてです。
選択肢アは間違いです。拒絶査定不服審判の請求は、拒絶「査定」の謄本の送達日から3カ月以内に特許庁長官宛にこの審判の請求書を提出することによります。このことを知らなくても、選択肢の文は「最後の拒絶『理由』の通知から」となっていることから、間違いだとわかりますね。
選択肢イは正しいです。拒絶査定をした審査官が、審判官として拒絶査定不服審判を審理することはありません。
選択肢ウは正しいです。特許出願人は、拒絶査定不服審判の請求と「同時に、特許請求の範囲及び明細書の補正をする」ことができます。その場合、拒絶査定不服審判の審理を行う前に「前置審査」をします。この補正で、拒絶理由が解消するかもしれませので。この審査は、拒絶査定をだした審査官が再び審査を行います。
選択肢エは正しいです。特許出願人は、拒絶査定に対して、拒絶査定不服審判を「請求することなく」、拒絶理由の通知の対象となった請求項を削除することによって、当該出願について特許査定を受けることはできません。拒絶理由の通知の対象となった請求項を削除することは、「補正」です。そして、拒絶「査定」後、「拒絶査定不服審判を請求することなく」補正をすることはできません。なお、拒絶査定不服審判請求時の補正には、その補正内容に制限がありますが、拒絶理由の通知の対象となった請求項を削除する補正はできます。
よって正解はアです。