知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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先行する知的財産権への抵触に対する権利調整規定

書きかけで、長い間放置してました(笑)。


記憶に間違いがなければ(笑)、はるか以前に商標法第29条(他の知的財産権との調整規定)について書いたと思います。これと同様の規定は、特許法第72条、実用新案法第17条、意匠法第26条にもあります。

先行する他の知的財産権に抵触する場合、その「使用」(これは商標の場合で、特許や実用新案、意匠では「実施」)が制限されます。
権利は一応与えられます。使用(実施)が制限されるだけです。

ここで注意すべきことは、
①商標法第29条、意匠法第26条は、著作権にもふれて書かれているが、特許法第72条、実用新案法17条では、著作権にはふれず明記されていない
著作権法には、著作権と他の知的財産権との間の抵触について、権利調整規定は存在しない
③これらの権利調整規定はすでに書いたとおり使用(実施)の制限をするのみで、権利そのものは登録される
という点です。この3つは大事です。

①については、特許権及び実用新案権と、先行する著作権との間の抵触については、特許法又は実用新案法上、権利調整規定には記載がなく、もっぱらその時々の案件の解釈判断にゆだねられていて問題がある、と言われています。特許や実用新案では発明のアイデアが保護対象ですが、著作権ではアイデアでなく著作物そのものが保護対象なので、抵触することはない、ということなのでしょう。ただ、ソフトウェア特許(≒ビジネスモデル特許)が認められている(といっても未だにいろいろ議論されています)現在では、問題があるのではないでしょうか?

②については、著作権法では権利調整規定が全くなく、先行する他の知的財産権との抵触については全く何も決められていないので問題がある、ということです。
③については、それぞれの知的財産の使用(実施)における制限はされるものの、登録自体はされますから、権利は付与されます。
また、抵触により無効になることはない、ということです。このことは、例えば、商標では法第4条1項7号の活用による拒絶査定や登録無効などへとつながってきます。
これはこれでいささか問題があるのではないかと思います。


先行する知的財産権への抵触に対する権利調整規定、実は、何気に重要なのではないでしょうか?