知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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追求権 その2

一般的には「追及権」と表記される場合が多いですが、フランス語”Droit de suite”(英語で書けば”Right to follow”という意味。実際には英語ではこの権利は”Resale right”と呼ばれているようです。)をふまえて訳せば「追求権」の方があっているように私には思えますので、私はこちらで書きます。


その1の続きです。

今回の小川明子先生のレクチャー、日本知財学会知財会計・経営分科会の第31回サロンにて、行われました。テーマタイトルは、「追及権導入の背景及び国内外への影響」でした。場所は、青山学院大学のとある教室でした。

レクチャーの内容については、前回ブログで紹介させていただいた、小川明子先生の書籍の内容のプラスアルファ的内容、というところでしょうか。
詳細な説明は省きますが、個人的にはゆがんでいてどこかいびつな現在の著作権法制度、これを補正するものの一つと、私はとらえています。

で、このレクチャーを受講して私が思ったのは、結局まだまだ日本では追求権導入は難しいだろうな、ということです。

日本では、なにぶん「追求権」を知らない人が圧倒的に多いと思いますので、まずは今回のレクチャーのようなその啓蒙活動からはじめないといけないのでは、と思います。
そして、次の段階として、追求権に対する社会的認識が高まったところで、有志を集め組織を作り、その組織の力によってロビー活動的に文化庁国会議員等に働きかけ圧力をかける、このような動きをしなければならないかな、と思います。
そして、最終的には、著作権法制度の改正、あるいはあらたな法制度の構築までしていかないと、おそらくダメだろうな、という気がしてなりません。

官僚や政治家が自発的な動きで、追求権を認め考えるようになるとは、私には到底思えません。
もしその可能性があるとすれば「外圧」でしょうか。海外で追求権が当たり前に導入され行使される状況となり、ベルヌ条約のさらなる改正、あるいはあらたなる条約の締結でもあれば、日本も変わらざるを得ないでしょう。
とはいえ、海外の状況も、欧州を除き、日本と似たり寄ったりの国がほとんど、あるいは日本よりも更にひどい国がまだまだ存在するのだろう、という気がします。特にアメリカでは日本同様に、追求権を導入していません(カリフォルニア州だけは、州レベルで導入していますが、USAという国としては導入していません。)。このことは、とても大きいと思います。


個人的には、この「追求権」には大賛成です。アンバランスな著作権法制度をバランスよくするものと考えるからです。


ただ、著作権法制度は、日本のみならず、世界の各国においても、かなりいびつなところがあると思います。そしてそのいびつな面をどうにかするためには、修正的にあたらしい条項を作るしかないと思います。
しかし、それがさらにあらたなにいびつな側面を作ってしまうことになる、ということは過去を振り返ればこれまでおおいにおこっていて、今後もおおいにおこりえることです。
根本的に著作権法を変えないと、このいびつさは直らない気がします。

あと、この追求権、芸術家にはいいでしょうが、画廊等の美術業界の人達はおそらく反対するでしょうね。それがネックになるかな、という気もしています。


などなどと考えると、追求権の日本での導入は非常に困難かな、とふと思ってしまいました。


で、レクチャーが終わったあと飲み会をやるというので、そこでそのあたりを詳しく先生に聞こうと思って、それにも参加しましたが、結局聞けませんでした(笑)。