知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第18回知的財産管理技能検定2級学科試験30問目選択肢イ及びウについて

第18回知的財産管理技能検定2級学科試験30問目選択肢イ及びウについて再考してみました。たぶんこういうことではないかと思います。


まず、前提として。

発明をした場合その発明に対するとり得る対応として、①特許出願により権利化を図るか、②なんらかの事情であえて特許出願しない手段をとるか、2つの考えがあります。
②はさらに、②-aノウハウとして外部にもらさず秘匿して守り続けるか(ノウハウの場合、特許がとれる可能性があるにもかかわらず、最初からノウハウとして保護する、という選択の場合もあります。)、②-bいっそ公知化を図る、つまり世間に技術を公開して、自分は特許権をもたないが他人にも特許権をもてなくしてしまうか、という2つの考えがあります。

30問目の選択肢イと選択肢ウは上記の②についての説明で、選択肢イが②-b、選択肢ウが②-aとなる、と私は考えました。


ここであらためて、両者をみてみます。

選択肢イについて、前半部に書かれた内容(「〜あれば」のところまでです)はそのとおりだと思います。そして後半部(「公開技報等」から最後まで)は、まさに②-bを説明していてそのとおりだと思います。
このように見ていくと、選択肢イにはおかしい部分はないと言えると思います。
ちなみに、「公開技報」とは、各企業において研究開発され、早期公開された技術を掲載した文献、だそうです。

選択肢ウは②-aの説明だと思います。
1つ目の文の前半部に書かれた内容(「〜場合には」のところまでです)はそのとおりだと思います。
1つ目の文の後半部に書かれた内容(「先使用権を」から「必要である。」までのところです)もそのとおりだと思います。万が一に備え、先使用権を主張しその証明ができるものをあらかじめ用意しておかねばなりません。そうしないと、もしノウハウが漏れて他者にそのノウハウを特許化されたら、自分はもはやノウハウを用いた製品を作れなくなる可能性があります。また、他者に同じ技術を用いた似た商品を製造販売されてしまうかもしれません。そうしたら、投資した金銭や、これまでの時間や労力、全てが無駄になります。つまり、ノウハウ保護に関するリスクマネジメントについて書いている、と思います。
2つ目の文に書かれた内容(「ラボノートの」から「手段である」までのところです)ですが、「最もよく用いられる手段」と書いてあるのがやはり気になりました。
ラボノートは確かに先使用権の証明手段としては有用です。
ラボノートは、発明につながる研究の記録から、発明の完成、そして発明を用いた製品の製造販売等事業行為の準備にいたるまで、時系列で誰が何をどのようにしてその結果どうなったかを、詳しく記録されていることで、証拠能力が高くなります。
ですが、発明につながる研究の記録、そして発明の完成までの記録が主と言えるのではないでしょうか。これ「だけ」に事業の準備までの証拠までを担わせるのは、少し無理があると思います。
よって事業の準備については、他にも資料を用意してそれとあわせて複数の証拠を用意すると思います。例えば、設計図、見積書、事業計画書、その他事業の準備やそのために必要なこと等の関係資料をいろいろ集めて、多面的に証拠をそろえ証明すると考えられます。そして、事業の準備の証拠としては、これらが主になる、と私は考えます。そして、そうならば、「準備の準備」の証拠としては、ラボノートは必須ではない、と私は考えます。
ゆえに、ラボノートは『事業の準備の立証のために最も用いられる手段』とは言えないのではないでしょうか?勿論、ラボノートは大事な証拠の1つであります。しかしあくまでワンオブです。しかも必須とはいえない。ワンアンドオンリー、あるいはそれに近いものにはなり得ない、と考えます。

結局、選択肢ウは、ノウハウ技術管理で、それが漏れる場合に備え、「先使用権」を主張できる証拠をそろえておきましょうという話であり、そしてその証拠となるものの説明におかしな部分がある、だから間違い、ということなのでしょう。


よって、やはり選択肢イが正解、ということになると私は思います。



と、考えてみましたが、どうでしょうか。正直にいえば、私はこの考えにはあまり自信がありません。
ただ、解答時間が少ない知的財産管理技能検定2級試験で、この選択肢の文で正誤を判断し解答するのは、至難の技、だと思いました。
そういう意味で、これは知的財産管理技能検定2級試験の問題としては悪問である、と私は思います。