知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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続々パブリシティ権

物のパブリシティ権が認められない理由と考えられている、これがぶつかる問題について考えてみたいと思います。
つまり、物のパブリシティ権が、特許、意匠、商標、著作権のような知的財産権民法の所有権などとぶつかる抵触問題についてです。


人にしかパブリシティ権を認めないという考えである「人的属性アプローチ」、この考えの根拠の一つとして、「知的財産権などの既存の権利との抵触をさけるため」というのがあります。

パブリシティ権を物にも認めたら、他の権利との抵触問題がおきて大変になってしまう、そもそも少なくとも物の場合は既に認められた権利概念で十分対応できるからパブリシティ権という新しい概念で対応する必要はない、という考えのようです。
でも、この考え、どうなのでしょう?

物に限らず人のパブリシティ権の場合でも、既存の権利との抵触はおこりえますから、これが物のパブリシティ権を否定する理由になるのはおかしいと思います。そして、人にせよ物にせよ、パブリシティ権については全てケースバイケースで考えるしかないと考えます。

実際、判例を読むと(全ての判例を読んだわけではないですが)、ケースごとにしっかり考えていると思います。個人的には一部の判決には同意しかねるところはありますが…。
ある程度判例の蓄積ができるはいいことですので、もっと蓄積されてほしいです。しかしそのために、別の裁判においてこれまでの考えが何も検討されずただ踏襲されてしまう、そのようなことになるのだけはないようにしてほしいです。
パブリシティ権は、まだまだ新しい権利概念です。だからこそ、前判例は参照程度にして、裁判毎にしっかり検討をおこなってほしいものです。


ちなみに、海外でも、人のパブリシティ権しか認めないという考えが主流です(海外でも、物にパブリシティ権を認めたケースはあります)。また、もともとコモンローの国でうまれた権利概念、つまり判例上認めれられた権利概念であり、そのせいか成文法で規定されている国はないようです(アメリカでは、成文法で規定されている州はあります)。