CTMの説明 第四回 共同体商標制度の取消無効についての補足
第四回です。
今回は、欧州共同体商標制度における取消無効について少し補足をします。
取消は誰でもできるのは日本と同じですが、無効は少し異なり、請求内容により、適格性が違います。
絶対的無効理由については誰でも無効を訴えることができますが、相対的無効理由については関係当事者のみです。つまり、侵害された先行商標権者又は使用をライセンスされた商標使用権者だけが、相対的無効理由で訴えることができます。
また、取消の理由が日本と微妙に違います。日本だと、登録商標の不使用による取消が圧倒的(他にもありますが、ここではCTMとの比較でこれを主として書きます。)です。CTMでは、その他普通名称化による取消、商標が使用される商品役務の質の誤認による取消(こちらは日本にも同様の取消があります)があります。
注意すべきは「普通名称化」です。
さらに注意すべきは、この場合第三者による使用をもはや禁止することはできないことです。普通名称は一般なものです。それを禁止できるわけがありません。例えばホッチキスがそうです。
あと、無効との関係で書いて置くべきことは「黙認による無効請求の制限」です。他者による使用を5年間黙認してしまったら、(悪意による使用のケースを除き)もはや無効の請求はできなくなる、という点です。ちゃんと商標の管理をして、するべき権利行使はしなければだめ、ということです。
これはCTM独特です。
こういう日本とは細かい違いがCTMにはいろいろあります。今後また書くつもりです。
いずれこのあたりも知的財産管理技能検定1級ブランド分野学科試験で出題される気がしてなりません。
(ここらで一度、CTMについてはSTOPします)