知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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商標法制度における「悪意」とは

日本特許庁主宰で、昨年秋に「悪意の商標出願セミナー」なるものが開催されたらしいです。商標5庁もからんだ国際的な内容だったようです。
どういうセミナーだったかそれなりに推測できますが、実に興味深いです。
ちなみに香港で「第二回悪意の商標出願セミナー」が今年の5月、つい最近にあったそうです。続編的セミナーだったのでしょうか?



で、「悪意」なんですが。
実は、世間一般でいう意味の「善意」「悪意」と、法律用語としての「善意」「悪意」とでは、全く意味が異なります。

説明します。

Wikipediaによると、世間一般でいう「悪意」は「相手に悪い結果が生じることを願う意思」のことだそうです。逆に「善意」は「相手に良い結果が生じる行為をする意思」だそうです。「悪意」は願う意思、「善意」は行為をする意思というのが面白いです。心の中で相手の不幸を願うだけで十分で、自分が手を下すかどうかは関係ないところがミソですね。それに対して、「善意」は相手が幸せになるような行為をしようと思うところが、大きな違いです。

法律用語では全く意味が変わります。「悪意」は「事情を知っていた」ということで、逆に「善意」は「事情を知らなかった」ということです。大事なことは、法律用語としての「善意」「悪意」は、「善悪」の価値判断的な言葉ではない、いうことです。
例えば、裁判で『被告は、この場所に立ち入ってはいけないと書かれた看板があったのにもかかわらず、「悪意」で立ち入った』というような場合、この「悪意」は、『看板により立ち入ってはいけないと「知っていた」にもかかわらず立ち入った』ということです。別に立ち入ってはいけない場所に「悪いことをする」意図で立ち入ったわけではありません。
また、『盗品であるにもかかわらず、中古品として「善意」の第三者が買ってしまった』というような場合は、これは『盗品だと「知らないで」第三者が中古品として買ってしまった』ということです。「善意の第三者」は「良い第三者」ということではありません。



「悪意の商標出願」、この場合の「悪意」は、法律用語の意味ではなく、あきらかに世間一般の意味での「悪意」です。
紛らわしいですが、御注意ください。



なお、国により「悪意の商標出願」について、法制度に違いがあるようで、なかなか興味深いです。
個人的にとても興味があるので、このセミナーの内容を部分的にでも一般公開してほしいです。

また、5庁(4ヶ国プラス1地域、日本、米国、欧州、中国、韓国)だけでなく、もっと広く他の国々にも参加してもらいたいものです。