知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

【重要】お詫び申し上げます。

最近の一部弊ブログ内で、誤った表記をしてしまいました。

正しくは「音楽『教育』を守る会」と書くべきところを、「音楽『教室』を守る会」と書いてしまいました。

いつの間にか、音楽教室と「音楽教育を守る会」とを一緒にしていました。

 

たいへん申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。

 

間違えるだけではなく、この間違った認識で皮肉めいたことを書いてしまい、「音楽教育を守る会」関係各位には非常に不快なお気持ちをさせてしまい、本当に申し訳ございませんでした。

今後は、正しい認識のもとブログを書いていくとともに、批判を行なっていくにせよ他人を不快にさせる表現をしないよう、気をつけてまいります。

 

御指摘くださりました、弊ブログ読者の方には、心よりお礼申し上げます。あやうく間違ったことを書き続けるところでした。本当に感謝いたします。

 

なお、当該弊ブログはすでに修正をしました。万が一修正漏れがございましたら、あらためてお詫び申し上げますとともに、その旨の御指摘をいただきたく、お願い申し上げます。

 

最後にあらためて申し上げます。たいへん申し訳ございませんでした。

あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第2回 著作権法制度における、著作者・著作権者等の権利と社会公益性について

今回は、いつもとは異なった観点で書きます。著作権法制度における、著作者・著作権者等の権利と社会公益性について」とでもいいましょうか。

 

なぜ、突然こんなことを書くかと言いますと、「音楽教育を守る会」の主張の中に、著作権法第1条にからめた主張があったからです。そこで私も著作権法第1条について書こうと考えたのです。

 

 

 

さて。

少なくとも、現行の日本の著作権法制度は、「権利者(著作者・著作権者等)の権利を認め尊重し守る」ことが、その目的のはずです。これは、著作権法制度の歴史的経緯からしても明らかです。
しかし、これを徹底すると社会に対して不具合が生じてしまいます。だから、正当かつ合理的な範囲で、社会のために、権利者(著作者や著作権者等)の権利は制限される、ということになっています。



著作権法第1条にはこう書かれています。

著作権法第1条】
「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」

つまり、この著作権法第1条には、
著作権法は、権利者(著作隣接権者等含む著作者、著作権者)の権利を定め(権利内容設定)、その権利を守ること(権利保護)が目的である
②しかし、その権利は、著作物の利用(けっして使用ではない、そしてそれは公正な利用でなければならない)における社会的公益性に配慮した上で、守られなければならない(制限つき権利保護)
③これらのことによって文化の発展に貢献する
ということが書かれています。


すなわち、著作権法の目的は、著作隣接権者等含む著作者、著作権者の権利を守ることなのです。それは著作物の利用(けっして使用ではない、そしてそれは公正な利用でなければならない)における社会的公益性に配慮した上でなければならない、ということにすぎません。社会的公益性に配慮するあまり、著作隣接権者等含む著作者、著作権者の権利が必要以上に制限されるわけではけっしてありません。その上で、究極的に「文化の発展にに寄与する」ものなのです。

第1条のみならず、著作権法全体の構造からしても、権利者の権利保護が重視されていることがわかります。著作権法では、先に各権利について規定されています。そして、その後に権利制限がされる場合について規定されています。
つまり、著作権法では、
①権利者の権利、その内容と保護、
が規定され、その後に
②権利制限、
が規定されています。
①がまず優先されるべきものであり、②はあくまで必要があるならばその限定範囲において①を制限するためのものにすぎない、そのことがわかると思います。そしてこれが寄与することで、たどりつく先にあるのが「文化の発展」なのです。

 

 

少なくとも現行の日本の著作権法制度においては、社会公益性が著作権を制限することはあっても、けっして社会公益性が著作権より優先されているわけではない、ということがおわかりになられたのではないか、と思います。
以降、これを前提として、私は話を続けていきます。

あらためて《音楽教育を守る会 vs JASRAC》 第1回 そもそも論

確か前にも書いたと思いますが、そもそもJASRAC音楽教室に対して著作権料の支払いを求めているのであり、音楽教室の生徒に支払いを求めているのではありません

 

もっとも、裁判の結果、もし仮に音楽教室著作権料を支払うことになったとして、音楽教室側は、間違いなくレッスン料にその著作権料を上乗せするでしょう。そうでなければ、音楽教室側は、損をしますから。だから実質的には、著作権料を支払うのは生徒、という形になります。でも、これは音楽教室側が支払うべき著作権料が、レッスン料に反映され上乗せされるだけの話です。音楽教室で使用されるテキストと同じ理屈です。

 

勘違いしてはいけないのは、このことと、今回の裁判の争点とは全く別の話である、ということです。

仮に音楽教室側が「著作権料を自分達のみで負担し、生徒達には一切負担させない。」というスタンスであれば、生徒達にとっては、著作権料をJASRACが徴収しょうがしまいが別にどちらでもいい話なのです。音楽教室が、生徒の負担になることを当然のように言っているから、生徒側も勘違いしてしまうだけの話です。

 

だいたい、会の名前が、「音楽『教育』を守る会」です。一見これは社会のための会に思えます。私も、最初はそう思いました。しかし、この会は、あくまで自分達のビジネスを守ること(具体的に言えば、著作権料を支払わず損をしないこと)が目的なのではないでしょうか?その正当性を主張するために、生徒を巻き込んでいるにすぎないのではないか、と私は思います。

音楽教育を守る、このお題目は実は二の次なのではないか。と私には思えてしまいます。いかに自分達が損しないか、ただそれだけの話なのではないでしょうか。

 

ちゃんと説明もせずに、生徒を巻き込む形でJASRACに反対している「音楽教育を守る会」には、私には違和感を感じます。

もちろん、ビジネスですから、レッスン料に上乗せするのは、当然のことです。音楽教室というサービスを提供するための必要経費なのですから。ただ、そのことをちゃんと説明するべきです。

 

そもそもこの裁判において「音楽教育を守る会」にどれだけの正当性があるのか、私には疑問です。

 

 

いささか話がずれてしまいました。

さて、なぜこのようなことをわざわざあらためて書くかと言いますと、著作権法第22条の問題とのからみがあるからです。

今回の裁判のケースは、「カラオケ法理」的なものだと考えます。実際の演奏主体は生徒(と講師)ですが、著作権料を負担するべきは音楽教室です。これは、実際にカラオケで歌うお客と、著作権料を支払う義務があるカラオケ店の関係と同じではないでしょうか、ということです。

 

「三人寄れば文殊の知恵」

突然ですが、美術館の絵画をスマホで撮影したその写真をSNSやブログにアップした場合、これは問題にはならないでしょうか?

 

絵画ですから、その著作権が問題になるのはすぐに考えつきます。また、その絵画の「所有権」も、場合によっては考えなければならないことも知っていました。ただ、その絵画を展示している美術館の「施設管理権」については私には盲点でした。確かにこれも考えなければなりません。

 

詳しいことは、

 

美術館でも広がる「スマホで撮影OK」、撮った画像は自由に使えるの?|弁護士ドットコムニュース | https://www.bengo4.com/houmu/17/n_6216/

 

こちらをご覧ください。私が説明するより、弁護士の方の記事の方がはるかにわかりやすいです。

 

 

さて、今回あらためて考えたのは、「世の中は複雑で面倒で大変。でもいろいろ考えなきゃダメ。一つのことだけ考えてもダメだよね。」ということです。

 

今回の美術館の絵画の写真の件でいえば、絵画の著作権だけではなく、絵画所有者の所有権、そして美術館の施設管理権ここまで考慮する必要がある、ということです。

実はこのようなことはたくさんあるのでは?と思います。いろいろ当てはまると思います。

例えば、私がこのブログで書いている「音楽教室を守る会 vs JASRAC」の問題。私はこのブログでは比較的単純に著作権法制度のみで考えて書いています。しかし、もっと深く考えるならば、例えば、「音楽文化とは何か」というところから考えなければならないでしょうし、また「他の国での音楽教室著作権法制度について」も比較対象にいれて考えなければならないでしょう。

政治の世界でもそうです。今東京で問題になっている、豊洲市場の問題なんて、まさにそうです。確かに、地下汚染物質は最重要論点の一つです。しかし、他にも考えることは沢山あり、それらが非常に複雑に絡まってしまい、なかなかすぐには結論を出すことができないのは事実です。かといって、結論はもはやすぐにでもださないといけません。これはとてもとても難しいです。しかし、この問題から逃げることはできません。

 

 

閑話休題

今のこんな時代、どんなことも考えることが多岐にわたったりしています。一つのことだけ考えていればそれでOK、ではもはやありません。

複雑で面倒で大変で、例え非常に困難なことであっても、できる限りいろいろなことを考慮していかないと、後々大変なことになりかねません。

もちろん、人一人の思考能力なんざ、たかがしれています。だから、みんな集まって話をするのではないでしょうか?もっとも大勢人が集まっても、まともに話し合いができない人達もいらっしゃいますけどね。

 

 

 

昔の人は言いました、「三人寄れば文殊の知恵」と。これは、まさにそういうことではないでしょうか?これが大事なのではないでしょうか?

【緊急】 しっかり権利は守らないと 〜 イチゴの話 その3

(その2の続きです。)

 

前回、「 ただ、そのアジア各国や韓国からの日本への輸出(日本からみたら輸入)を差し止めることはできるかもしれません。」と書きました。

つまり、日本の新品種についての育成者権を侵害する物品(アジア各国や韓国からの韓国産イチゴ新品種)ならば、税関での差し止めができる、ということです。輸入される前に、税関で差し止められることで、少なくとも日本には出回ることはない、ということです。

 

 

しかし、ここでもう一つ疑問があります。

③韓国で作られているイチゴ新品種は、日本の新品種の改良品種(つまり別の品種)なのか、それともやはり日本のイチゴの新品種なのか?

という点です。

韓国産イチゴ新品種が、日本のイチゴ新品種とは異なる別品種といえる程度に改良されたものならば、差し止めはできないでしょう。(※)

また、もし改良品種ならば、韓国でその改良品種を生産すること、そしてその生産したイチゴをアジア各国で販売すること、これらは全く問題ありません。

さらに、それ以前に、契約の内容によっては、契約に違反してすらいないことになります。つまり、品種改良をせず、またした場合その改良品種を広めてつくり販売しないことを、契約に盛り込んで規定されていない限り、これらの行為は契約違反にはならないとされるでしょう。おそらくUPOV条約も役には立ちません。(※※)

 

 

そうである以上、韓国産品種イチゴに対してはもはやどうにもできないと思います。これからは、まず韓国産イチゴよりさらに高品質のイチゴ品種をつくりあげることに力を入れるべきです。そして、今回の件を教訓に、国外への新品種の流出に注意しつつ、その日本産新品種イチゴの生産及びアジア各国でそれを販売展開することに、注力をするべきでしょう。韓国産イチゴをアジア各国の市場から追い出すほどに。

 

 

(※)

韓国の新品種は、「雪香」、「苺香」、「錦香」というそうです。「雪香」という品種は、日本の「章姫」と「レッドパール」という品種をかけあわしてできた改良品種、「苺香」という品種は、日本の「章姫」と「栃の峰」という品種をかけあわしてできた改良品種、「錦香」という品種は、「章姫」と「とちおとめ」という品種をかけあわしてできた改良品種、だそうです。

 

(※※)

日本のイチゴ品種と同じものをつくれば、間違いなく契約違反です。しかし、もし契約に品種改良についての規定がないならば、品種改良の行為は契約違反ではありません。

 また、UPOV条約に、品種改良についての規定があるかどうかは、私にはわかりませんでした(なお、日本の種苗法では、確か、許諾なく品種改良した場合、それについても育成権者の権利が及ぶはずです。もちろん日本国内での話です。)。しかし、どちらにせよ、韓国ではイチゴがこの条約での保護対象品目ではありません。そうである以上、今回の韓国での品種改良行為は残念ながら、条約上問題にはならない、としかいえません。

【緊急】 しっかり権利は守らないと 〜 イチゴの話 その2

(その1の続きです。)

 

今回のイチゴの新品種が、韓国で勝手に広く生産され、アジア各国で人気がでて販売されている件について、

①日本側権利者と韓国の人とが、契約をしたというのならば、契約違反で韓国の人を訴えればいいのになぜしないのか?
そもそも、この契約、不備はないのか?
の2点を疑問に思っています。

 

 

さて、まず②について書きます。

韓国の研究生産者にイチゴの新品種を渡す際に、日本側とその方との間で、「5年間、研究目的での、有償で生産する」ことを条件として契約を交わした上で、譲渡したそうです。

しかし、もし契約書の記載がこの程度でしたら、それだけでは不十分です契約違反の際についての取り扱いについては、ちゃんと取り決められていたのでしょうか?裁判管轄は?契約に盛り込むべきことは他にもいろいろあります。

また、契約したからそれで終わり、ではありません。ちゃんと相手方が契約を遵守し続けているかを、怠りなく監視しなければなりません。そうでなければ、相手方が契約違反を犯したなどわかりようがありません。

例えば、所謂継続的売買取引契約ならば、取引が継続的に行われる中で相手方が違反を犯したならば、まだその違反に気づくこともできますが、今回はおそらく譲渡自体は一度きりです。

その上での①です。ちゃんと監視ができていれば、もっと傷が小さい内に、相手方を訴えることができたはずです。もちろんこれからでも訴えることはできるでしょうが、果たしてどこまで勝てるでしょうか。相手方の生産自体は差し止めることができるかもしれませんが、韓国の他の農家の方々の生産販売(アジア各国への輸出)まで差し止めることはもはや無理だと思います。

 

ただ、もしかしたら、そのアジア各国や韓国からの日本への輸出(日本からみたら輸入)を差し止めることはできるかもしれません

 

 

(後で知りましたが、育成権者はこの韓国の人と一度和解をしたらしいです。しかし、この韓国の人は、和解内容を履行せず、相変わらずイチゴの生産と販売をしているらしいです。

ちなみに、この韓国の人が生産したイチゴについて、日本国内への輸入は税関で差し止められたそうです。

しかし、この和解は、直接的には、アジア各国での販売を止めることにはならなかったようです。そして、実際にアジア各国で販売しているのは、この韓国の人が韓国で広めた日本のイチゴを元に改良されたイチゴ品種だそうです。今現在これが韓国中で広く生産されているそうです。)

 

 

(その2に続きます。)

 

 

【緊急】 しっかり権利は守らないと 〜 イチゴの話 その1

つい最近、朝のニュースを見ていましたら、興味深いニュースがありました。

ニュースによると、日本でのイチゴの新品種が、韓国ででまわってしまい生産されていて、現在その韓国産イチゴがアジア各国で売れまくっているそうです。つまり、日本の新品種イチゴのアジアでの販売機会が、新品種の韓国産イチゴにとられている、ということだそうです。

 

直感で、種苗法の話だな、と私は思いました。ですが、種苗法なんて、数年前の知的財産管理技能検定試験2級以来、とんと御無沙汰です。もっとも、当時も基本の基本しか勉強していませんでしたけど(そういえば試験で出題された記憶もないです…。)。

 

ですので、自分になりに調べまして、書いてみました。間違っている点がありましたら、御指摘ください。今回はその1です。

 

種苗については、UPOV(「ユポフ」と発音するそうです)条約というものがあり、国際的に(加盟国間だけですが)保護されます日本も韓国もその加盟国です

「ならばこの条約で保護されるよね。よかった。」と思ったら、なんと、国によって保護対象品目が異なるらしく、韓国ではイチゴは保護対象品目ではないそうです。あらら。

 

しかし、そのことは日本側もわかっていたかもしれないようです。だからでしょうか、日本の育成権者側は、韓国の研究生産者にイチゴの新品種を渡す際に、その方との間で、契約を交わしたそうです。「5年間、研究目的のみで、有償で生産する」ことを条件として

 

ですがその後、その韓国の方は契約を守らず、その結果、韓国国内でイチゴの新品種が広まって作られるようになりました。それがアジア各国に輸出され人気がでて高く稼げるほどになり、日本のイチゴの新品種のアジア各国での販売機会を奪っている、というのが今回のコトの顛末のようです。

 

 

ここで、私が疑問に思ったのは、

①契約したのならば、契約違反で韓国の人を訴えればいいのになぜしないのか?

そもそも、この契約、不備はないのか?

ということです。

 

 

(その2に続きます。)