知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

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第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 27問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は27問目です。



27問目は、不正競争防止法第2条1項1号の混同惹起行為における不正競争防止法第19条第1項の適用除外についての会話で「不適切」な発言の選択肢を選ぶ問題です。

 

 

選択肢アは正しいです。選択肢の文のとおりです。不正競争防止法第19条1項1号に該当します。なお、この選択肢の文でふれられている裁判例くろず事件」裁判だと思われます。

選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。通名称でも、それが普通に用いられる方法で表示されないのであれば、適用除外は認められないとされています。この選択肢の文には「裁判例」という言葉はありませんが、例えば「赤木屋プレイガイド事件」裁判や「つゆの素事件」裁判など(どちらも普通に用いられる方法であるとして適用除外を肯定、普通名称と認めている。)を参考にしていると思います。

選択肢ウは間違いです。自己の氏名を不正の目的なく使用する場合は、適用除外が認められます(不正競争防止法第19条1項2号)。選択肢の文のとおり、自己の氏名に、個人の本名だけではなく、芸名や雅号についても、適用除外が認められた裁判例(花柳流舞踊事件)があります。しかし、法人名についてこの適用除外は認められないとした裁判例があります(山葉楽器事件)
選択肢エは正しいです。選択肢の文のとおりです。不正競争防止法第19条1項3号に該当します。この選択肢の文には「裁判例」という言葉はありませんが、「フジマンバルブ事件」裁判(先使用権を肯定している。)を参考にしていると思います。この選択肢に書かれているとおり、この裁判では、使用様態の途中変更によりこの先使用権が認められなくなることもあるとも、判示されています。ちなみに、不正競争防止法第19条1項4号では、不正競争防止法第2条1項2号の著名表示冒用行為についての先使用権が規定されています。
よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

 

この27問目で、選択肢の文の中で「裁判例」と書かれているのは、発言1と発言3のみですが、調べてみると全ての発言(全ての選択肢)の文に、そのベースとなる判例があることがわかります。よってこの27問目も判例問題といっていいと思います。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 26問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は26問目です。

 

 

26問目は、商標権の侵害者に対する損害賠償請求についての会話で「不適切」な選択肢を選ぶ問題です。

 

各選択肢の文には、「裁判例」「最高裁」との記載があり、正誤の判断のための判例が存在することがわかります。


選択肢アは正しいです。発言1(選択肢ア)のとおりです。選択肢アは「メープルシロップ事件」裁判をふまえての文だと思います。

選択肢イは正しいです。発言2(選択肢イ)のとおりです。選択肢イもメープルシロップ事件」裁判をふまえての文だと思います。

選択肢ウは正しいです。発言2(選択肢イ)のとおりです。選択肢ウは「小僧寿し事件」裁判をふまえての文だと思います。いわゆる「損害不発生の抗弁」についての文です。

選択肢エは間違いです。後半の文のうちの、「独占的通常使用権者にも…(途中略)…判示しています。」の部分は間違いです。専用使用権も、独占的通常使用権も、使用権の専有という意味では同じですが、前者は物権的なものであり、後者は債権的なものと考えられています。第38条の規定は、物権的な専用使用権については類推適用されても、債権的な独占的通常使用権には類推適用されない、と判示されています。選択肢エは、「花粉のどあめ事件」裁判をふまえて、間違った内容にした文だと思います。

よって、選択肢エが間違いで「不適切」なので、エが正解です。

 

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 25問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は25問目です。

 


25問目は、「IKEA商標事件」の下級審裁判例について「不適切」なコメントの選択肢を選ぶ問題です。

 

 

 

選択肢アは正しいです。選択肢の文に「商標法第2条第3項第8号」とあります。その文は「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」です。この内容は、この25問目の問題文にある裁判例の一部の文に記載されています。まあ、「商標法第2条第3項第8号」ときかれて、すぐにその内容を思い浮かべることはできないと思いますけどね。弁理士や弁護士じゃあるまいし。

選択肢イは正しいです。選択肢の文のとおりです。問題文にある裁判例の文に「被告各商標は(途中略)メタタグ(途中略)として記載された結果(途中略)被告サイトの内容の説明文ないし概要や(途中略)タイトルとして表示され、これらが被告サイトにおける家具等の小売業務の出所を表示し」と書かれています。つまり、選択肢の文にある書かれているとおり、「出所表示機能を果たす態様での使用であり、商標的使用にあたる」ことになります。

選択肢ウは間違いです。選択肢の文に「これ(注、検索エンジンの検索結果として表示されないメタタグ)を含めたメタタグへの類似標章の記載全般」とありますが、問題文にある裁判例の文(簡単に書くと、「メタタグが『表示されている』からこそ商標権侵害になる。」)を読めば、この部分は間違いだということがわかります

選択肢エは正しいです。真性商品を販売していても、その販売行為が商標の出所表示機能や品質保証機能を害する態様であるならば、商標権者に対する商標権侵害になります24問目の並行輸入についての考えもそうです。
よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 24問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は24問目です。


24問目は、並行輸入による商標権侵害を起こさないようにするために、商標権者たるY社とW国の製造会社Z社とが結ぶ使用許諾契約をX社がチェックする際の注意点について、「不適切」な選択肢の文を選ぶ問題です。

 

前提として、

①日本国法人のX社は、商品PをW国からわが国に並行輸入することを検討

②商品Pには商標Qが付されていて、Y社がW国とわが国でその商標Qの商標権を有している

③Y社は、商標Qに係る商品Pの製造販売についてZ社との間で商標の使用許諾契約を締結、X社が商品PをW国から並行輸入をする場合は、その商品PはZ社又はZ社の下請けが製造したものとなる

ということです。

 

 

この24問目は、問題文に説明はありませんが、フレッドペリー事件」裁判(なお、選択肢イについてはバイアグラ錠剤事件」裁判も(※))が参考にされていると考えられます。つまり、おもてだって書かれてはいませんが、この24問目は判例問題と考えていいと思います。

なお、このフレッドペリー事件」裁判の前、後にも、並行輸入についての裁判はいろいろあり、それらも参考にしてください。

 

フレッドペリー事件」裁判では、「真性商品の並行輸入認定の三要件」が示されていて、それらは、

❶商品に付された商標が表示する出所と、商標権者が使用する商標が表示する出所とが、実質的に同一であり

❷その商標の外国での使用許諾をえた者等により適法に付されたものであり

❸外国での使用許諾をえた者等によりその商標が付された商品の品質が、商標権者が商標を使用することで生じる商品の品質についての信用を損なわない

の3つとなります。

 

 

その上で、各選択肢をみてみます。

選択肢アは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❷に該当するものと考えられると思います。

選択肢イは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❸に該当するものと考えられると思います。

選択肢ウは間違いです。選択肢の文に、「商品Pについて、使用許諾契約にて、Z社がY社との間で商品Pの販売先ないしは商標の使用地域からわが国日本を除外する規定が含まれているかどうかをチェックする。」旨が書かれていますが、別にX社はZ社から商品Pを直接購入しているとは限らないので(この24問目にはそのような説明はありません。書いてあるのは、X社は商品PをW国から並行輸入することと、そのW国から並行輸入する商品PはZ社又はZ社の下請けが製造していることだけ、です。)、仮にV社(W国の会社)としますが、例えば、そこにZ社が商品Pを販売し、そのV社からX社が購入しているとしたら、この選択肢の文の行為は全く意味のない不要の行為です。選択肢アの文に似ていますが、全く意味が違います。

選択肢エは正しいです。これは、前述の三要件のうちの、❶に該当するものと考えられると思います。

よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

 

 

ちなみに、この「真性商品の並行輸入認定の三要件」については、29問目に書かれています。つまり、29問目が24問目を解くためのよいヒントとなっています。フレッドペリー事件」裁判での「真性商品の並行輸入認定の三要件」を思い出せなくても、24問目を解くことができた人もいたでしょう。

 

 

 

(※)選択肢イが「Z社はY社の書面による事前の同意なく、商品Pの製造、仕上げ又は梱包の下請けについての取り決めをすることを禁止されている規定が含まれているかどうかをチェックする。」とあるのは、バイアグラ錠剤事件」裁判をふまえたものと思われます。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 23問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は23問目です。

 


23問目は、商標権譲渡交渉についての考えで「適切」な選択肢を選ぶ問題です。

 

選択肢アは間違いです。X社(被譲渡企業側)の代表取締役が甲、Y社(譲渡企業側)の代表取締役が乙、丙が両社の取締役の場合、商標譲渡については、X社とY社の代表取締役は異なりますので、よって利益相反行為にはあてはまらず、この場合取締役会の承認は不要です。これは、有償譲渡、無償譲渡でも変わりません。商標譲渡は、その条件により、取締役会等の承認が必要になることがありますので、注意が必要です。

選択肢イは間違いです。X社(被譲渡側企業)は、Y社(譲渡側企業)と商標権譲渡交渉が成立し契約が締結したものの、まだ商標権移転登録をしていなく、そのY社(譲渡側企業)が企業清算してしまった場合、その清算結了後でも、X社(被譲渡側企業)は、Y社の清算代理人を登記義務者として、ともに商標権移転登録の申請をすることができます。その場合、その清算代理人がY社の清算人だったこと、また商標権譲渡時にY社が清算中であったことの証明書面として、閉鎖登記事項証明書または抄本を申請に添付しなければなりません
選択肢ウは正しいです。正しいといいますか、当り前といいますか。この選択肢の文のようにY社からX社に商標権を譲渡する場合で、X社の情報はまだ何一つ登録されていない、つまりX社の本社が移転されたところで修正するべき登録情報はないのですから、登録権利者の欄にはX社の新住所を記載すればよく一の申請で譲渡による移転登録申請の手続はできることになります。なお、もしX社が譲渡側、Y社が被譲渡側となると、話は違ってきます。まず、本社住所を変更したX社は、登録内容の修正(本社住所の修正)をしなければいけません。その上で移転登録申請をすることになります。
選択肢エは間違いです。国際登録商標の場合は、国際登録簿へのライセンスの記録のみで効力がある国もあれば、それだけではダメでその国において別途ライセンスを登録しないとダメな国もあります。日本もそうで、特許庁の商標登録原簿に専用使用権の設定を登録しなければいけません
よって、選択肢ウが正しく「適切」なので、ウが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 22問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は22問目です。



22問目は、販売代理店契約における裁判管轄条項についての選択肢の説明で「不適切」なものを選ぶ問題です。

 

選択肢アは正しいです。裁判管轄条項に「契約内容との関係の有無にかかわらず、当事者間のあらゆる紛争は」とあるのが間違いで、相手が海外企業だろうが国内企業だろうが、その契約書の裁判管轄条項は、例えば「本契約に起因し又は関連する一切の紛争は」というようにして、あくまで契約内容との関連性がある裁判に限定しないといけません。紛争ならなんでも、というわけではありません。よってこの選択肢の文(取引相手はロサンゼルスの企業)の場合は、少なくともこの裁判管轄条項については契約無効であり、よって東京を本社とする家具メーカーX社は、東京地方裁判所に裁判提起することができる可能性は高く請求却下にはならないと考えられます。

選択肢イは、正しいです。この選択肢の文も、裁判管轄条項に「契約内容との関係の有無にかかわらず、当事者間のあらゆる紛争は」とあるので、この契約書における裁判管轄条項としては無効と考えられます。ただ、選択肢アとは異なり、選択肢イにおいては取引相手が同じ日本での大阪の企業です。つまりこの場合、契約書の裁判管轄条項は無効なので、民事訴訟法の被告地主義の原則にもどり従うことになり、X社は、東京地方裁判所に訴訟提起しても、それが認められず、請求却下となる可能性が高いです。

選択肢ウは間違いです。裁判管轄条項については「本契約に起因し又は関連する一切の紛争は」とありますから、この裁判管轄条項はここまでは問題ごさいません。ですが、次に、この文の後に、「取引先であるインドのW社が裁判提起する場合は東京地方裁判所を、X社が裁判提起する場合はニューデリー地方裁判所を、専属的合意管轄裁判所とする」旨が書かれています。国際取引の場合、そもそも、日本では(おそらくインドでも他の国々でも)国際裁判管轄についての直接的規定はなく国際裁判管轄について直接あてはまるその他の規定も原則もなくましてや国際裁判管轄には被告地主義の原則など当然ありません契約により国際裁判管轄地を自由に取り決めることはできます。ただ、それには、裁判の負担公平性裁判適正性手続迅速性等の観点による総合的判断の妥当性も求められます。もっとも、契約書にこのような記載がある以上、X社が東京地方裁判所に裁判提起しても、東京地方裁判所から請求却下される可能性は高いです。

選択肢エは正しいです。裁判管轄条項については「本契約に起因し又は関連する一切の紛争は」とありますから、この裁判管轄条項はここまでは問題ごさいません。そして、この文の後に、「X社が裁判提起する場合は東京地方裁判所を、フランスのV社が裁判提起する場合はパリ地方裁判所を、専属的合意管轄裁判所とする」旨が書かれていますが、これは裁判の負担公平性裁判適正性手続迅速性等の観点による総合的判断の妥当性からして問題はなく、そして契約書にこう記載がある以上、X社が東京地方裁判所に裁判提起しても、東京地方裁判所から請求却下されない可能性が高いです。

よって、選択肢ウが間違いで「不適切」なので、ウが正解です。

第26回知財管技検定1級ブランド学科試験問題 自分学習用解説 21問目

第26回知的財産管理技能検定(4回目)1級ブランド専門業務学科試験の自分学習用解説 、今回は21問目です。

 

 

21問目は、販売代理店契約に関する選択肢の文で「適切」なものを選ぶ問題です。 

 

日本のメーカーX社は、日本国内での椅子Aの製造販売にあたり、Y社と販売代理店契約を結ぶことを検討しています。


選択肢アは間違いです。契約の書面を取り交わさずとも、口頭での契約当事者間の合意が成立すれば、その段階で契約成立です。ただし、契約の種類内容によっては必ず書面を取り交わさないと、契約成立にならないものもありますので、御注意ください。販売代理店契約は、口頭で契約成立します。

選択肢イは間違いです。そもそも、前述の通り、販売代理店契約は、契約の書面を取り交わさずとも、口頭での契約当事者間の合意が成立すれば、その段階で契約成立です。ただ、口頭だけでは、後になって「言った言わない」とトラブルの元になりますので、書面化し、それぞれが調印することで、その契約書をお互いの証拠とするわけです。それで、もしその契約書面について相手側が署名捺印をしていなければ、「契約書として」効果はありません。ですから、相手側から連絡を受けるのではなく、最初から同一の契約書を二部用意して両者がそれぞれに署名捺印した上で一部ずつ保管するとか、あるいは、どちらかが原本を持ち必ず無くさないよう保管し、相手側はそのコピーを持つ、というようなことをします。

選択肢ウは間違いです。繰り返しますが、販売代理店契約は、契約の書面を取り交わさずとも、口頭での契約当事者間の合意が成立すれば、その段階で契約成立です。ですから、選択肢ウの文にあるように、交渉して契約内容に合意ができた段階ですでに契約は成立しています。この文に書かれているWebでの手続きは、選択肢イでいうところの書面化と同様の行為であり、この行為をもってはじめて契約が成立するということはありません
選択肢エは正しいです。契約書のタイトルがなんであろうが、大事なのは契約内容です。契約書のタイトルが「権利譲渡契約書」だろうが「販売代理店契約書」だろうが、その内容が販売代理店契約についてのものであるならば、その契約書は実質的に販売代理店契約書であり、そのように扱われます。あまり契約書のタイトルにはこだわらないことです。もっとも、契約内容とあまりにかけ離れている契約書のタイトルもどうだとは思います。

 
よって、選択肢エが正しく「不 適切」なので、エが正解です。