知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験に向けて諸々のこと、その他書籍やニュースなどの知財、その他の法律等に関して、思いついたら書きます

書籍紹介その36 知的財産侵害物品の水際取締制度の解説【2009年版】

(これを書いたのはもっと前なのですが、アップし忘れてました。ですので、今更ですがアップしました。)

 

 

知的財産管理技能検定1級の学科試験における税関制度問題に対する学習についてですが、私の場合は、過去問相手にインターネットで参考資料を探して、勉強をしています。

知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務学科試験の対策としては、これでなんとかなるかなとは思います。
出題数は少ないですし、また別に通関士を目指すわけではないので、関税法及び関係する法令そのものにまで手をだす必要はないでしょうから、インターネットで差止申立や認定手続等の税関制度についてある程度わかればいいのではないかと思います。


それでも、参考となる書籍がほしい、という方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。私もそうです(笑)。
ですので、一応以下の書籍を紹介します。


 

知的財産侵害物品の水際取締制度の解説 2009年版

知的財産侵害物品の水際取締制度の解説 2009年版

 

 

あらら、写真がないですね。以下は私が撮影した写真です。表紙はこんな感じです。

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古い書籍です。約7年半前の書籍です。しかし、私が知る限りこれくらいしかないかと思います(もし他によい書籍がありましたら教えてください。)。


この書籍ですが、実際に読むべきは第1章から第3章までの約50ページです(ちなみに、この書籍は全体で約400ページです。つまり必ず読むべきは約1/8のみです。)。
なお、第4章以降は、第4章は提出書面の記入方法の説明、第5章は関係法令・通達、そして巻末関係資料という構成となっています。これらは、必要なところを適宜参考にすればいいかと思います。上記のとおり、ページ数は圧倒的にこちらが多いです。

これらのことからわかるように実務向けの実用的な書籍です。学習向けの書籍ではありません。
また、前述のとおり古い書籍です。平成20年くらいまでの制度、法令等の内容です。さほど変更事項はないとは思いますが、最新の内容のものではないのは間違いありません。
ただ、私が知る限り、2009年版以降新しいものはでていないようですので、新しい情報については、インターネットで確認して自ら補足修正してアップデートするしかありません。結局インターネットを活用することになります。


税関制度系のいい書籍ってないんですよね。本当に、もし他によい書籍がありましたらぜひぜひ教えてください。できれば、海外の税関制度についても記載があるものを。

J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《後編》

(以下に書くことは、あくまで「私の個人的な意見」です。)

 

 

 

(不定期に、その3《中編》

 J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《中編》 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

の続きで、今回もその1で書いた論点の②について書きます。)

 


論点②①が認められるとして、音楽教室著作権料徴収の対象とすべきなのか。(著作権料と教育)

 

 

《中編》の続きです。

 

 

話をもどします。

 

「技術指導目的であろうと、教育目的であろうと」、それらのこと自体は本来著作権とは関係のないことです。

著作権の利用には、本来許諾が必要であり、そこに著作権料が発生するならば、無償の許諾がされていない限り著作権料を支払うのは、著作権法制度の当然の基本の考えです。

教育だろうがなんだろうが、著作物の利用行為には許諾が必要です。そしてさらに必要ならばその使用料、対価が発生します。これが著作権の原則、基本的な考えです。

ただ、この原則を貫くとまずい場合があり、よって許諾不要、著作権料を支払わなくてもいい例外の場合を著作権法で規定しているにすぎないのです。

「学校教育」においても、著作権の原則はつらぬかれています。実際、学校でも著作権料を支払なければならない場合はあるのです。といいますか、原則として本来著作権料を支払わなければならないのを、著作権法の規定により支払わなくていい例外として認められているだけの話です。しかしそれは、「学校教育だから」という理由で著作権料を支払わなくていい、ということではありません著作権法上、「学校教育だから」という理由で著作権許諾の必要がなくできる行為は、学校教育上必要な限りにおいての「複製」行為だけです。この場合以外著作権の権利については、「学校教育だから」許されているわけではありません。学校で行われる行為の中で、それらが「非営利」「無償」「無報酬」の行為だから許諾は不要、著作権料は発生しない、というだけのことです。けっして「学校教育だから」ではないのです(※)。

 

また、音楽教室は、音楽教育の一つのあり方かもしれませんが、そもそも少なくともいわゆる「学校教育」ではありません。学校と音楽教室をごちゃ混ぜにした議論をすること自体そもそもおかしな話です。

 

 

また、以前に書いたように「今回のような音楽教室から著作権料をとるというような行為が文化を破壊する。」と主張される方がいますが、こんなことで破壊されるほど文化はやわではありません。私には、逆に文化をなめた発言だとしか思えません。

むしろ、これまで、著作権を正当にもつ人達(けっしてJASRACではありません)に、正当に著作権料が渡ってなかったことこそが「文化破壊の源」、私はそうだとさえ考えます。正当な権利を持つ人達が著作権料を得ることができていないことこそ問題だと思います(その点でJASRACがうまく機能できていない面があると私も思いますが、それと今回の音楽教室からの著作権料徴収の件とは別の問題として考えるべきものです。)。

 

あと、そもそも「文化を守る」というような言い方に私は違和感を感じています。

文化財のようなモノを保護することとはわけが違います。いかにも自分達は正しいという主張のための自分勝手な綺麗事にしか私には思えません。

文化財はあくまで保護し未来に残すべきアーカイブだから守るべき価値があると思います。文化制度そのものは、逆に社会や時代が変われば積極的に変わるべきものだとさえ思います。守るべきものを履き違えてはいけないと思います。

ちなみに、似たような言葉に「お客様のために」というのがあります。この言葉で何でも正当化されたら、客の立場としてはたまったものではありません。

 

 

最後に書きます。やはり音楽教室著作権料徴収の対象とすべきなのです。それが、著作権者にとってよいことであり、かえって文化の発展につながります。

 


(不定期に、その4に続く。)

 

 

 

そもそも学校自体が、「営利(特に私立の学校)」「有償(生徒は学費を払っている)」「有報酬(先生は給料をもらっている)」である、という意見があります。これについては、ここでは「では学校はボランティアじゃないとだめなのでしょうか?」とだけ書いておきます。

また、学校でも著作権の許諾の必要、著作権料を支払う必要の場合があるのは、前述したとおりです。もっともその場合でも、必ずしも権利者により学校に対して著作権料の徴収がちゃんとできているとは思えません(できている場合もあるでしょう。)。まあ、権利者がわかっていてあえてしていないなら、私がとやかく言うことではありません。

J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《中編》

(以下に書くことは、あくまで「私の個人的な意見」です。)

 

 

(不定期に、その3《前編》
J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《前編》 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

の続きで、今回もその1で書いた論点の②について書きます。)

 

 

論点②①が認められるとして、音楽教室著作権料徴収の対象とすべきなのか。(著作権料と教育) 

 

 

《前編》の続きです。

 

 

前編とは少し話がずれますが、及川眠子さんと宇多田ヒカルさんは何か誤解をされていらっしゃるように思います。

 

まず、作詞家である及川眠子さんの勘違い。著作権利用主体についての勘違い著作権を利用しかつ著作権料を支払うのは「音楽教室の主催者側」であり、音楽教室の生徒ではありません。もっとも、生徒が払うレッスン料に著作権料が上乗せされる可能性は否定できません。しかし、いかにも生徒が著作権料を負担するというような言い方はいかがなものかと思います。

 

それから、アーティストの宇多田ヒカルさんの勘違い。学校と教育についての勘違い。そもそも、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専門学校の世間でいうところの「学校」と、いわゆる巷で「音楽教室」と呼ばれているものを一緒に考えること自体がおかしいです。「音楽教室」は仮に公共性があるとしても、あくまでビジネスです。 いわゆる「学校教育」ではありません。両者をごちゃまぜにした発言はいかがなものかと思います。

 

 

お二方の発言は、著作権でメシを食っている立場であるにもかかわらず自分達の著作権収入を自ら「いらない」と言って放棄している、ということに他なりません。著作権法制度を正しく理解をせずに、自分達の存在と行為を否定するとしか思えない発言をするのですから、なんといいますか、呆れるやら、開いた口が塞がりません。 だったら、お二方ともこれから著作権料をもらわず、ボランティアで無料で作品を提供されますか?

 

 

音楽系に限る話ではありませんが、特に音楽系アーティスト、クリエーターは、著作権法制度について、あまりに無理解である人が少なくないように私には思えます。

自分達の収入に関わる非常に大事なことなのに、あまりの無頓着ぶり。これでいいのでしょうか?自分の著作権を守ること、他人の著作権を尊重すること、どちらも大事なことですが、それをいいかげんに扱っているとしか思えません。

嘉門達夫さんが著作権法制度をちゃんと理解されていらっしゃるのとは、あまりに対照的、といいましょうか。

 

他人事ながら心配になります。

 

 

 

(不定期に、その3《後編》に続く。)

J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その3《前編》

(以下に書くことは、あくまで「私の個人的な意見」です。)


(不定期に、その2

J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その2 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな? 

の続きです。)

 

 

今回はその3です。その1で書いた論点の②について書きます。今回は、その《前編》です。

なお、JASRACが公式HPで発表した概要解説と、私が書く意見とで、重なる部分がありますが、真似したわけではありません。たまたま同じ意見であっただけです。また私JASRACの回し者ではけっしてありません(笑)。

 

 

 

論点②①が認められるとして、音楽教室著作権料徴収の対象とすべきなのか。(著作権料と教育)

 

 

 私企業又は財団法人が、音楽教室という事業」「営利で」展開していて、「そこにおいて著作物を利用している」こと、これは「商業目的」の行為であり、よって「当然音楽教室における著作物の利用行為には著作権料が発生する」ものと私は考えます。

音楽教室に対して「教育であるから当然無償だ」とか、「音楽教室から著作権料をとることは文化の破壊につながる」とか主張されている方々がいらっしゃいますが、私には見当違いな発言だとしか思えません。

 

そして、テキストや楽譜での著作権料、演奏会などでの著作権料と、音楽教室のレッスンにおける著作権料とは、また別のものです。

正確には、テキストや楽譜での著作物使用における著作権料の負担はその出版社がしています。音楽教室やその生徒が負担するものでありません。もっとも、おそらくその著作権料は、テキストや楽譜の価格に転嫁されているので、めぐりめぐって間接的に音楽教室やその生徒が著作権料を負担していることにはなりますが、あくまで直接的には出版社の負担です。なお、テキスト、楽譜における著作権は、著作権の中の「複製権」の話であり、今回の件で言われている「演奏権」とはまた別の話です。

また、演奏会の著作権料は、演奏会がレッスンの一環で行われるものであっても、授業とは別に考えるべきものであり、そこはわけて考えるべきものです。レッスンと一緒くたにしてはだめです。なお、演奏会における著作権は、これこそ「演奏権」です。

そして、音楽教室のレッスン自体については、私は「演奏権」を主張することに違和感がありますが、著作物たる音楽(テキスト、楽譜ではなく、音楽そのもの)を利用してビジネスをしている以上、著作権料徴収の対象となりうる、と考えます。ただ、実際に徴収するかしないかはまた別の問題、です。

 

 

 

(不定期に、その3《中編》に続く。)

べ【非連続不定期掲載】 ベストライセンスへの対処 その1 ベストライセンスへの正しき理解パート2

(非連続不定期に、その1パート1

ベ【非連続不定期掲載】 ベストライセンスへの対処 その1 ベストライセンスへの正しき理解パート1 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

の続きです。)



ベストライセンスの出願は今のところ審査される可能性は全くないとは言いませんが、ほとんどゼロに近いです。
なぜなら、前回ちらっと書きましたが、出願料を支払っていないからです。出願料を支払わない限り、審査の段階には進みません。審査されない以上、登録になることはけっしてありません(出願料を支払えば審査段階には進むでしょう。それでも登録となるかどうかは審査次第です。)。

ベストライセンスはただ出願しているだけのちゅうぶらりんの状態にすぎない、のです。

しかし、出願だけは特許庁に受理された状態であるので、この状態のままでは後願は拒絶されてしまいます。
そこで、現在特許庁は、出願料を支払っていないベストライセンスの出願について、通告をした後一定期間待った上で、次々と出願を却下して、取り下げています
(また、特許庁は他の出願者への注意喚起の為の声明を出していて、出願を諦めないよう呼びかけています
そのURLは
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm
です。)
ベストライセンスの後願だとしても、とにかく出願さえしておけば、一定期間待つことにはなるかもしれませんが、ベストライセンスの出願が却下されることにより、他に登録の障害要因がなく審査に進み登録要件をみたせさえすれば、その後願は登録されます。前回に、「やるべきことはしておき、準備すべきことは準備しておく」と書いたのは、この意味もあります。

あと、前回書いたとおり、特許庁のデータベースであるJ-Platpatで、ベストライセンスの出願同行をチェックし把握しておくといいかもしれません。なお、J-Platpatでの情報公開にはタイムラグがありますので、注意が必要です。


こう説明しますと、「ベストライセンスがなんぼのもんじゃい!」と思えてくるでしょう(笑)。実際、もはや私はその程度にしかベストライセンスについて思っていません。


とはいえ、それでもそれなりに時間がかかる可能性が高いので、商標登録を急いでいる場合は特に、ベストライセンスの存在がうざくて邪魔に思えてきます。
しかし、あせって向こうに歩み寄ろうなどとバカなことを考えてはいけません。それこそ、向こうの思うツボです。



(不定期に、その2パート1へ続きます。)

UPLORD「知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務対策講座」受講してきました

2月12日(日)(国内編)と19日(日)(海外編)とで行われた、UPLORD主催、「知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務対策講座」、受講してきました。


これらの日は、TCPLも「知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務『学科』対策講座」を開催してました。私はいろいろ考えた末、UPLORDの方を受講しました。
まあ、前回までのテクノアソシエーツ(UPLORDの前に本講座を主催していた企業。UPLORDはテクノアソシエーツから本講座を引き継いだ形になります。)時代に本講座を毎年受講し続けてきた(つまりこれまで毎年私は不合格だったのです(苦笑)が、だからといってこの講座がダメで役にたたないなわけではありません。誤解なきよう。)こともあり、私の中で安定した信頼性があることが大きいからなのですが、それは、私の学習スタイル「①独自学習→②過去問→③本講座受講→④直前要点チェック」という流れに、この講座の内容があっている、ということがあります。
私にとって本講座受講については、まずなにより❶独自学習したことの復習(本講座の受講は私にはいいまとめになっています)のため、であり、そして❷知識の漏れを可能な限りふさぐため(見落とした点や法改正等新情報の確認、知識のアップデート)、であり(もっともそれでも斜め上の問題を少なくとも最低1問は出題してくるのがこの試験です(笑)。)、さらには❸本講座の知識は私の担当実務にも直結していてその点で役に立つから、という理由があります。単に試験に対してではなく仕事にも役にたつ点はけっして私には小さくはありません。もちろん、本講座の本来の受講目的は、知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務に合格すること、です。今年こそ合格するぞ。


個人的感想としては、今年はこれまでよりも講義内容の密度がさらに濃くなった気がします。まあ、多少なりとも年々覚えるべきことは増えてきていますから、仕方がないことではあります。その分クオリティもあがったと個人的には思います。
海外編の講師もおっしゃっていらしたと思いますが、この試験は試験範囲が広く、正直どこから何がどのように出題されてもおかしくありません。この試験範囲全てを完全にカバーして勉強することなど、どだい無理な話だと、私は思います。
ですので、過去問から出題ポイントを導きだしある程度しぼり込み、そこを中心として勉強を進めていくのがいいと思います本講座はその助けになります。それでもそれなりに量がありますけど(笑)。
また、勉強していなかったことが出題され、それを正解するには、ある程度の応用力があればなんとかなるとは思うので、応用力を身につける勉強法が必要だとも、個人的には思います。

毎年そうですが、今回は特に、海外分野では新たな条約(ハーグ協定ジュネーブアクト)加盟や法制度改正(EUTM(旧CTM)等)について、国内編でもいくつか細かい点で、知識と情報のアップデートをしなければなりません。
特に海外分野は国内分野と比べ、出題数に比して覚えることが、特に今年は多いと思います。ゆえに海外編では、講師は早口でまくしたてざるをえず、ついていくのに精一杯の人も少なくなかったのではないかと思います(その点、受講者に限りますが、ネットで講座の録画をあらためて見ることができるというのは、有難いサービスだと思います。)。



合格に対して、海外編(2日目)の講義の一番最後に講師がおっしゃっていたことが、試験にのぞむ心得としては本当に大事だと思います。このブログでは書きませんが。



最後に。
この講座は、知的財産管理技能検定1級ブランド専門業務試験の対策講座ですが、この試験に関係なく、商標業務担当者が自身の知識の確認やアップデートのために受講されるというのもありかと思います
特許庁主催の説明会やその他いろいろなセミナーへの参加、書籍やインターネット等、知識や情報のアップデートを細かくされていらっしゃる方々は別として、なかなかそこまでできない方々には、特に企業の知財(商標)管理担当者の方々には、毎年ではなくとも1年おきか2年おきぐらいで受講されてもいいのでは思います。
私も合格したらそうしようかと思っています。

J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その2

(以下に書くことは、あくまで「私の個人的な意見」です。)

 

 

 

(不定期に、その1及びその1の特別編の続きです。)

 

その1

J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その1 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

 

その1の特別編

 J【非連続不定期掲載】 JASRACの音楽教室からの著作権徴収に思う その1の特別編 - 知財管理技能検定1級ブランド専門業務試験合格への道かな?

 

 

今回は、その1で書いた論点の①について、書きます。

 

 

と、その前に。

ここで私の根本的基本的なスタンスを書いておきます。

 

私は、著作権及び関係する法制度もJASRAC のような著作権管理団体も必要と考えています。

しかし、その運用には、公正性かつ正当性が求められると考えています。

私は、正しいと考えられることには正しいと、おかしいと考えられることにはおかしいと、主張します。

それにも当然、公正性と正当性とがなければだめです。著作権法制度やJASRAC のような著作権管理団体を理解もせず、自分勝手な理屈を主張する人達、及びその意見を見過ごすことはできません。

 以上。

 

 

閑話休題

 

論点①JASRAC は、「音楽教室での、練習のために講師が生徒の前で楽曲を演奏する行為は、著作権法の『演奏権』に該当する行為、つまり『公衆に聞かせる行為』であり、著作権使用料が発生する。」と主張しましたが、この主張は妥当なのか。(『演奏権』とは?) 

 

私は、ここが一番難しくかつ一番重要な論点になるのではないか、と考えています。

 

 

まず、本論に入る前に確認しておきます。

 

JASRAC は、音楽教室を開いている団体や企業に著作権料を求めているのであって、けっして音楽教室を利用する生徒からは著作権料を求めてはいません。世間一般の反対派の方々はこの点をわざとわかっていないような気がしてなりません。

 

音楽教室側は、生徒が音楽教室に支払うレッスン料に対して、その著作権料を反映して、結果レッスン料を値上げするかもしれません。これにより、形式的にかつ間接的ではありますが、確かに生徒がJASRACに対して著作権料を負担する形にはなります。しかし、あくまでJASRAC音楽教室を開いている団体や企業に対して著作権料負担を求めているのです。生徒に対してではありません。

仮に、これら団体や企業が、生徒に著作権料の負担がかからないようにするために、あくまでその負担を自らだけにとどめれば、生徒は当然著作権料の負担をせずにすみます。実際には、そんなことはしないし、できないでしょうけれども。音楽教室を開いている団体や企業は、慈善事業で音楽教室をしているわけではありません。あくまで「営利目的、ビジネス」なのですから。

 

このことをふまえて。

 

さて、私は、「『演奏権』とは、もともとコンサートとかライブとかイベントとかにおける、演奏を『見にきた、聴きにきた』オーディエンスに対するそのアーティスト側の『演奏』行為に対する権利だった。」と考えています。

 

しかし、著作権で「演奏権」が認められてから、その後かなりの日数が経ち、考えは変化しました。

 

「演奏」といえば、普通「楽器の演奏行為(歌唱行為含む)」と思いますが、例えば「アナログディスク(レコード)やCDをかける行為」も「演奏」行為です。ですから、ラジオやテレビで曲をかける行為もクラブでDJがするターンテーブルでのレコードプレイも「演奏」行為です。

(もっとも放送では、いろいろ権利関係は複雑になります。番組を収録する場合は既存の曲を使うとそれは確か「複製」行為にあたり、その収録した番組を放送した場合に「演奏」行為となるはずです。また放送自体には「公衆送信権」という違う権利も発生します。ちなみにテレビドラマだとさらにいろいろ権利が複雑にからまってきます。うああーっ、Why copyright?(笑))

 

閑話休題。「演奏」行為概念は他にも及んでいます。店舗でBGMとしてCDをかける行為や、スポーツジムなどでスポーツする際に曲をかける行為、ダンス教室などでの踊るための音楽をかける行為、これらは少なくとも現在においてはみな全て「演奏権」の対象です。

カラオケは、ちょっと複雑で面倒なので、「演奏権」に該当するものもある、とだけここでは書いておきます。

そして今回、JASRAC は、音楽教室における講師の「演奏」行為も「演奏権」の対象となる、と主張したわけです。

 

あくまで個人的な意見ですが、「音楽教室における講師の『演奏』行為まで『演奏権』の対象とするのは正直無理がある。」と思います。

講師の「演奏」は、確かに生徒に「聴かせる」ためのものではありますが、それは「演奏」技術の教授のためのお手本を示すための行為なのであり、本来の「演奏権」における行為とは違うと思うのです。しかも、実際のレッスンにおける講師の演奏は、回数はそれなりにあるかもしれませんが、一つ一つは短いと思います。講師が一曲を通しで演奏することはあまりないと思います。全くないと言えないでしょうが。これらから、音楽教室における「演奏」行為は、かなり特殊なものだと、私は考えます。

とはいえ、ダンス教室なども「演奏権」の対象となっている昨今、JASRAC はこのまま考えを変えることはないだろうと思います。

結局最終的に裁判沙汰になって決着するのではないか、と私は思います。

 

 

ただですね、あくまで個人的な意見ですが、音楽教室が著作物たる音楽の曲を『利用』して『営利目的で』事業を行っている事実」、そのことは事実としてあるので、そうである以上は著作権料はそこに発生するものだ、とは思います。著作権の商用利用には、著作権料が発生するのは当然だ、と私は考えます。それが「演奏権」におけるものかどうかはともかく。もっとも、「演奏権」以外に他にあてはまる適切な権利は見当たりませんし、著作権法を改正してあらたな権利をつくることなどあり得ないでしょう。だから、「演奏権」でいくしかない、ということになるでしょう、おそらく。

 

 

 また、ちなみにですが、私は、音楽教室における講師の「演奏」行為に「演奏権」が発生するとするよりも、音楽教室における生徒の「演奏」行為に着目し、「『カラオケ法理』的な考え」で解釈した上で、「実質的利用主体である生徒ではなく、音楽教室に利用主体がある」、と考えた方がむしろいいような気がするのです。この場合でも、音楽教室側が著作権料を支払わなければならないことになります。

また、この考えにおいても、ではこれは著作権の何権にあたるのか、という問題がついてまわりますが。何にせよ、話がずれてくるので、これについてはまた別の機会に書くと思います。

 

 

以上のことから、私は、結局最終的にJASRAC の主張が認められる、ことになるような気がします。料率は見直されるとは思いますが。

 

 

 

しいてJASRAC に落ち度があるとすれば、 「なんでいまさらになって思いだしたように著作権料を求めてくるのか、これまで求めてこなかった以上どんなに正当な理由があるとしても誰も納得できないだろう。」、この一点につきると思います。

 

 

(不定期に、その3に続く。)